人ごとでない夕張財政破綻

世相

 2007年夕張が財政破綻した。財政再建団体に指定され全国で初めて国の管理下に置かれ、予算編成も国の指導の下で行われるようになった。間もなく北海道新聞の記者が夕張の実態と破綻の原因を本にした。早速購入して読んだ。夕張と言えば、メロン、映画「幸福の黄色いハンカチ」で高倉健、倍賞千恵子で話題となりまさかこのようになるとは思わなかった。原因はエネルギー革命による石油へのシフトが炭鉱の廃坑となり人口減少で町の衰退が進んだ。それを何とかしようと時の市長が進めた大型プロジェクトが頓挫し、不正な会計処理も財政破綻への道に輪をかけたというものである。記憶では大型プロジェクトがよく書かれていなかった記憶があるが、その本が私の本の山の中に紛れて見つからず詳しく語れない。当時全国で金融機関の破綻の原因もこのような大型プロジェクトの破綻であった。その本は関係者に丹念に事実関係をただし、破綻への道がよく取材されていた。

  その後現在の北海道知事鈴木直道が東京都職員から夕張市長に立候補し当選する。 日本一給料の安い地方自治体首長として色々施策をやるがどうにもならなかった。鈴木直道には最後まで夕張を見届けて欲しかった。現在はメロンと映画祭に活路目指すが、厳しい状況にあるという。小学校、中学校は1校に集約し、図書館は廃止、市民税増税など市民への負担は並大抵でない。ゴミの有料化、下水道の大幅な値上げなど市民の負担は重い。若者は流出して、高齢化がとどめを刺す。夕張の市役所は職員大量退職(管理職は殆ど辞めた)で仕事量が増えただろう思うのと、経費節減のため午後5時30分で暖房を切るので、冬の残業は厚着をして勤めているという。職員の頑張りには敬意を表したいと思う。

  経済破綻の原因を夕張市民にもあるという論がある。破綻直後民放TVが夕張に入って取材している番組があった。「みのもんた」が出ていたが一市民が「破綻の原因は・・・」と語ろうとしたら、「あんたらにも責任がある」と発言を遮ったのには、私は腹を立てた。経済破綻の経過を調べた様子もなく、市民にも大きな責任があると言うのは乱暴だ。とても北海道新聞の記者のようにきめ細かい取材をしてというか、真摯に取材しようという姿勢が感じられない番組だった。調べてみると、この番組は2007年1月24日の『水トク』内で放送したスペシャル番組であった。現地ロケで夕張市を訪ねた、「みのもんた」が「(夕張破綻は)今まであんな議員を選んだ皆さんの責任でもある」と夕張市民を批判したが、「ものもんた」の「資金問題で立候補者が限られる地方選挙の実態」への認識不足が批判され、週刊文春2007年2月8日号では「みの夕張『大名』視察」と報じられた。また、同番組で「みのもんた」と会話していた「偶然その場で雪かきをしていた女性」は、後に一部マスコミで「何回もリハーサルをやらされた」と番組のやらせを暴露した。「みのもんた」はテレビで見ていて酔っているのではないかと思われたが、その後週刊誌によれば前の晩から飲んで、酔った状態で取材をしていたようだ。

 今全国の各地で第二の夕張が控えている。あの京都でさえ,苦しい財政の中での豪華な市役所、地下鉄の赤字などで数年後危ないという。今各自治体は現実を直視し、将来に備える必要があると思う。夕張市のホームページに夕張市の借金時計というのがあり、再生振替特例債償還終了年月は2027年3月である。あと●●●●日であると表示され、そして夕張市の市債(借金)の残高は81億●●●万●●●●円です。さらに返済した額は271億●●●●万●●●●円です。と表示されている。(2023年12月16日)国は夕張市民(最盛期12万人が2022年12月7千人を割り込んだ)が希望を持てるような地域の活性化に協力を惜しんではならないと思う。疲弊した地方を原発の最終処分地として、つるようなことだけは避けて欲しい。

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