オリンピックとお金の使い道

世相

  若い頃からスキー、ゴルフは嫌いだった。スポーツに、誘われることは多かったがスキー、ゴルフはやらなかった。このスキー、ゴルフは山林という大事な自然を壊し、競技場を作らなければ、やれないものと思ったからだ。ただ中学校の体育行事で、スキー場ではなく、雪の積もった山林を、晴天のなか、スキー遠足と称して滑ったのは楽しかった。でもスポーツの中でもこの2つは嫌いで、特にスキー競技の多い冬のオリンピックは見なかった。

 コロナで1年延期して、2021年行われた東京オリンピックの疑獄事件は、徹底的にやってほしいものだ。竹田恒和、森喜朗などがいかがわしい。東京オリンピックの招致段階で、組織委員会理事に約9億円が支払われたという疑惑が指摘されていたが、外国の報道機関が色めき立ったのに、日本の報道機関は歯切れが悪かった。政府からの圧力もあったのであろう。また日本の報道機関は自分自身がスポンサーになっていて口が出しづらかったのか。最近、受託収賄事件で1億9800万円のワイロを受け取ったとして起訴された高橋治之元電通専務が週刊文春で、“安倍晋三に裏切られ、森喜朗に嵌められて…”と「初告白」している。しかし他の報道機関はこのことに触れない。このブログで何度も書くが、今の報道機関はその使命を果たしていない。また馳浩石川県知事が、東京五輪の誘致をめぐり、IOCの委員に対し、内閣官房機密費で贈答品を渡したという発言をした問題も、馳浩の「不適切な発言」であったと同じ発言を繰り返し、その後能登の地震でうやむやになってしまった。

 東京オリンピックもあれだけの税金が使われたが,果たしてどれだけ適正な支出がなされたのだろうか。東京都は選手村の跡地を129億6000万円で払い下げたが、この土地については周辺の路線価などから算出した適正価格は約1339億円で、売却額はその10分の1にも満たないという。選手村を建てた大手開発事業者は、五輪終了後に選手村建物を活用して手直しをし、新築マンションとして販売している。こうして開発事業者は、都から安く買い上げた土地で大きな利益を産みだしている。笑うしかない。かつては長野オリンピックの会計の不透明さも指摘されていた。しかし帳簿を焼却しその後はうやむや。長野にオリンピックの跡を見に行ったとき、そりのような競技(ボブスレーか)の跡地は無残な瓦礫とまでは言わないが、それに近いものがあった。長野県が背負った借金は,最近やっと返済が終わった。原発立地の市町村に建てられた箱物と同じで、これからも競技場などの維持費は大変だ。「五輪」のベールの下でおこなわれてきた、不公正な取引と利権山分けの汚れたお祭り騒ぎのオリンピックに、検察等は容赦ないメスを入れて欲しい。

 知り合いの建設業者が、東京オリンピックが決まったとき、東北の復興の仕事や,原発の仕事より東京オリンピックの仕事の方が金になり、安全で安心だと言っていた。それにしても復興五輪とはよく言ったものだ。オリンピックより東北の本当の復興が先ではないか。普通の家が災害で被害を受けて,家を直さなければならない時、旅行に行く余裕があれば修復にお金を回すのではないか。裕福な家でも、どうするか考えるのではないか。2011年の東日本大震災で復興に必要な財源を作るために、復興特別所得税と復興特別法人税の2種類が創設された。復興特別所得税は2013年1月1日に導入され、2037年12月31日まで課税される予定だ。復興特別法人税は2012年4月1日~2014年3月31日の間、課税された。この課税は国に余裕がないから課すのであって、先ほどの家の例と同じではないか。オリンピックをやっている暇などなかったのである。東京オリンピックはそんな中の2013年9月開催が決定された。そして安倍晋三の原発はアンダーコントロール下にある発言である。福島第一原発は適正に管理されているとは言いがたい。よくぞ言ったものだ。復興税を課税しているのに、オリンピックにかかるお金を、東北に回すという考えは浮かばなかったのか。そして作業員はどう動くかと言うことも考えなかったのか。開催決定の瞬間、安倍晋三の飛び跳ねて喜んでいる姿をみて落胆した。この男が日本の総理大臣とは情けない。ギリシャはオリンピックをやって経済がおかしくなった。

 選手にも言いたい。オリンピックに夢とか希望とかと言って、オリンピック開催を願うと言うのは個人の勝手だが、国のプロパガンダに使われて欲しくない。モスクワオリンピックボイコットの時、柔道の山下泰裕が国家間の問題に個人である選手を巻き込まないでと発言していた。しかし今のオリンピックは,参加することに意味があるのではなく、国家間のメダル獲得競争、そして巨額な金の動くイベントになっている。その巨額な公金に群がる汚らしいオリンピック関係者、政治家等がいるのである。そんなオリンピックの在り方にも言及して欲しいものだ。一選手のメダルより、もっと大事な問題が国内外に山積している。

今、大坂万博の実施が危ぶまれている。色々な問題も指摘されている。そんな中能登の地震が起こり、能登の再建、復興には資金と人手が必要で、大坂万博のそれを充てれば、どんなに、能登は助かることか。今の政治家は、裏金を含めて信用ならないが、世論を盛り上げて大坂万博を中止に追い込めれば良いのだが。これからオリンピック開催に手を上げる国は限られてくるのではないか。オリンピックが大国の国威高揚に利用されることを懸念する。

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