昨年イギリスの公共放送BBCがドキュメンタリー番組で,ジャニーズ事務所創始者のジャニー喜多川の性犯罪を報道した。あまりに内容がリアルなことからか、いやジャニーズ事務所に気をつかったのであろう、NHK、民放各社は沈黙していた。日本でも過去に、被害少年が顔出しで告発をし、週刊文春がこれを取り上げたが、ジャニーズ事務所は名誉毀損と提訴する。裁判は最高裁まで続き、ジャニー喜多川による所属タレントへの性的虐待は事実であることの認定がなされた。しかし日本のメデイアはこれをほぼ黙殺し、ジャニー喜多川、ジャニーズ事務所をのさばらした。何十年もやらせ放題であった。被害者は膨大な数に上った。関係者はみんな知っていて、目をつぶっていたのである。
そしてイギリスでこの問題が取り上げ報道したのに、いくら過去の問題とは言え日本の報道機関が全くこの問題に触れないというのは、いかがなものかと思われる。日本の国、社会の品格が問われると考える。一芸能事務所に牛耳られる、日本のメデイアの存在理由とは何か。一日中テレビをつければ、馬鹿な役者がのさばっている。情け無い。
BBCが報道した直後、博報堂の雑誌『広告』の(2023年3月31日発売)の記事で、批評家が今回の BBCが報じたジャニー喜多川の性犯罪を語った部分を、博報堂という企業の立場上、一部の発言が使えない可能性があると、いわれ削除されたという。この本の編集長で博報堂社員の小野直紀は「今号の検閲は、本当に無意義だった」と述べ、この号で退任している。テレビも見ていないが,大手広告会社博報堂でこの有様だから、見なくても想像がつく。下端の芸人の不祥事には各局そろって詰るのに、巨大な権力者には逆らえない。ジャニーズ事務所に楯突くと、芸人を回してもらえなくなるテレビ局の事情もあるのだろうが、報道しなければならない時は、目をそらさず報道機関としての役割を果たしてもらいたい。ジャニーズ問題は依然解決していない。被害男性が自ら命を絶つなど悲劇も起こった。今また松本人志と吉本興業の問題が起こった。日本の芸能界の闇は深く暗い。