今まで以上に政治への不信が高まっている。この秋総選挙もありそうだ。今日本は、小選挙区比例代表並立制で、投票率は異常に低く、自民党は低い得票で、多くの議員を要する事態となっている。政治の不祥事、問題は上げればきりがないが、企業献金を禁止する為に作られた今の選挙制度を考えてみたいと思う。
小選挙区制度とは、1つの選挙区から1人だけが当選する選挙制度である。日本では、衆議院議員総選挙で小選挙区制度による選挙が行われている。私の若い頃は中選挙区制度で、平成の政治改革で小選挙区制度に変わった。平成の政治改革は小選挙区比例代表並立制と政党交付金の導入を柱とする政治改革であった。政党交付金は企業・労働組合・団体などから政党・政治団体への政治献金を制限する代償として、政党の活動を助成する目的で国庫から交付される資金である。企業、労働組合などの団体、の献金の禁止を名目に助成制度を作ったにもかかわらず、現在も企業団体献金が行われている。ばかげた話だ。政党交付金は改めて論じてみたいが、今回は、小選挙区制度について考える。
小選挙区制度の問題点としては、以下の4点が挙げられる。
– **死票が多くなる**
– **一票の格差が生じる**
– **地元への利益誘導**
– **重複立候補**
まず、**死票が多くなる**という問題であるが、死票とは、選挙で落選した候補者へ投票された票のことである。小選挙区制度では、獲得した票数がもっとも多い1名の候補者しか当選することができない。したがって、得票数が2位以降の候補者に投票された多くの票は無駄になり、少数意見が反映されにくくなってしまう。選挙にゆく意欲を削ぐのではないか。
次に、**一票の格差が生じる**という問題であるが、一票の格差とは、有権者の持つ一票の価値が平等ではなくなってしまうことである。小選挙区制度の区割りは、各都道府県の人口に応じて決められている。しかしそれでも、人口の多い都市部と人口の少ない地方では、一票の価値に差が生じているのが現状である。
さらに、**地元への利益誘導**という問題もある。小選挙区制度の選挙区エリアは小さいため、地元の有権者の支持を一定数集めることができると、当選の確率が大きく上がる。このような仕組みを利用し、地元の自治体や企業に利益誘導を行うことで、選挙区における支持基盤を固めようとする候補者が出てくることが考えられる。
そして重複立候補である、衆議院の小選挙区と比例代表で同じ候補者が立候補することを指す。これは、小選挙区で落選した候補者が比例代表で復活当選する可能性を高めるために行われる。しかし、この制度には多くの問題点がある。まず、有権者にとっては、小選挙区で落選した候補者が比例代表で当選することで、自分の意思が反映されないと感じるのではないか。また、政党にとっては、重複立候補者を優先的に比例代表で当選させるために、新人や女性などの候補者を犠牲にするように感ずる。さらに、議員にとっては、重複立候補者は小選挙区と比例代表の両方の有権者から支持を得る必要があるため、活動範囲が広くなり負担が増える。このように、重複立候補制度は、有権者や政党や議員の利益を損なうだけでなく、政治家像や政党像を曖昧にし、政治への関心や信頼を低下させる恐れがある。
以上、日本の選挙制度について考えてみた。選挙制度は、国民の意思を政治に反映させる重要な仕組みである。しかし、現在の選挙制度には、一票の格差や重複立候補や女性議員の少なさなどの問題点があり、これらの問題点を解決するためには、政党や政治家だけでなく、国民も選挙制度に関心を持ち、議論に参加する必要がある。私たちは、自分たちの一票がどういう影響を及ぼすかを理解し、より良い選挙制度を求めていきたい。