池宮彰一郎原作の映画「最後の忠臣蔵」は良かった。 主演は役所広司、佐藤浩市、桜庭ななみで、 音楽は加古隆であった。あらすじは 赤穂浪士の生き残り・寺坂吉右衛門が大石内蔵助から「事件の真実を後世に伝え、浪士の遺族を援助せよ」との使命を受け、ようやく最後の遺族を探し出したことで浪士の十七回忌法要が行なわれる京へと向かう。その道すがら、寺坂はかつての盟友・瀬尾孫左衛門と見かける。討ち入り直前に逃亡した瀬尾だが、実は彼にもある目的があった。大石内蔵助の隠し子可音を探しだし育て上げることであった。それが大石からの使命であった。瀬尾孫左衛門は可音を清らかに、行儀作法など、大石の娘として見事に育て上げる。可音はその後、瀬尾孫左衛門を慕うが瀬尾に一蹴される。瀬尾は赤穂の同僚から臆病者と罵られながらも、可音を豪商の子供茶屋修一郎に嫁がせ、それを見届けた瀬尾は切腹する。切腹直後駆けつけた佐藤浩市が「お主こそ最後の赤穂浪士」と後ずさり尻餅をつく場面はもう少し工夫があって良かったのではないかと思った。
子供の頃父に連れて行って貰った映画が「忠臣蔵」だった。東京に行った時、泉岳寺に行きたいと言い、寺内の線香の多さと臭いに驚いた。今泉岳寺はどうなっているのだろうか。NHKの昔の大河ドラマ忠臣蔵も印象に残っている。主役の大石内蔵助に長谷川一夫、山田五十鈴、淡島千景、尾上梅幸、坂東三津五郎、滝沢修、宇野重吉、舟木一夫、林与一ら数多くのスターが出た。討ち入り場面でははらはらしながら見た。
忠臣蔵関係の本はだいぶ読んだ。吉良上野介は地元では評判が良かった。このことからも、見方も色々あること知った。
そして今回の「最後の忠臣蔵」は面白かった。加古隆の音楽が映画を一層盛り上げたと思う。私にはピアノの音はきついときと、気高く聞こえる時がある。今回は後者か。ただ一つ瀬尾孫左衛門はなぜ切腹したのだろうか。嫁がせて使命は終わったと思ったのか、可音からの瀬尾孫左衛門への想いを断ち切ったとか、解釈は色々できるが、嫁いだ可音を陰ながら見守るという、もっと大事な使命もあったのではないか。私は瀬尾孫左衛門には生きながらえて、可音の傍にそうーといて欲しかった。それが佐藤浩市に「お主こそ最後の赤穂浪士」と叫ばせる場面に感じた違和感である。腹を切らず、生き恥をさらしてでも、嫁いだ可音を見守るのも大事な使命だと思うのだが。