2008年に起きた秋葉原無差別殺傷事件について考えてみたいと思う。この事件は、7人が死亡し10人が重軽傷を負った凶悪な犯罪で、加藤智大死刑囚が犯人である。この事件は白昼に起き、19歳から74歳までの被害者がいた。凶器には両刃のダガーナイフが使われた。加藤死刑囚は2022年7月に死刑が執行された。この事件は、なぜ起きたのであろうか。加藤死刑囚は、両親から厳しいしつけを受けて育った。
加藤が受けていた(自称)しつけ・教育の内容。
・ゲームは週に1回土曜日に1時間
・漫画・雑誌は読めない
・九九を間違えると風呂に沈める
・泣くと口にタオルを詰める
・食べるのが遅いと、新聞紙の上に食事を載せて食べさせる
・2Fの窓から落とそうとする
・友達の家に遊びに行くのも、自宅に呼ぶのも禁止
・恋愛禁止
・見て言いテレビ番組は2つだけ(ドラえもんと日本昔はなし)
・将来の夢は全て否定される
・10秒ルール:絵や作文を母親が検閲をし、10秒以内に答えられないとビンタ
・泣く度にカードにスタンプをし、10個揃うと蒸し暑い屋根裏部屋に閉じ込める
・オネショしたオムツを外に晒す
・青森の寒い雪の中を下着姿で何時間もたたせる
という壮絶な環境で育てられた。常軌を逸する内容には母親の過去のコンプレックスもあるようだ。母親も青森高校を卒業したが大学進学に失敗した。母親中心の家庭で父親の存在が希薄であった。事件後、両親は離婚をし,弟は自殺した。
加藤死刑囚は地元でも有数の進学校青森高校に通っていたが、同級生の多くが4年制大学に進む中、短期大学に進学した。その後はアルバイトや派遣社員として職場を転々とし、社会とのつながりを失っていった。仕事以外の時間はほとんどインターネットに没頭しており、掲示板やブログなどで自分の意見や感情を表現していた。しかし、彼は実社会では友人がおらず、孤立していた。彼は掲示板で自分をからかうような書き込みに対して怒りを募らせており、やめさせるために事件を起こしたとも言われている。彼は事件の直前にインターネットの掲示板に「今から人間を殺す」という書き込みをした。その後、トラックで秋葉原の歩行者天国に突っ込み、ナイフで通行人を刺していった。彼は逮捕された際に、「掲示板の書き込みを書き換えられると知っていれば事件を起こさなかった」と供述した。つまり、彼は自分の書き込みに対する反応を求めていたのである。しかし、なぜ彼はそこまで反応を求めたのであろうか。つまり、彼はインターネットでしか自分の存在感や居場所を感じられなかったのであろうか。
以上のことから、秋葉原無差別殺傷事件は、家庭環境・生育歴、そしてインターネット依存や社会的孤立が背景にある事件だと言えると思える。インターネットは便利なツールであるが、それだけに頼ってしまうと現実との乖離や、コミュニケーション不全が起こりやすくなる。私たちはインターネットを使う際には常に自分自身や他者への配慮や責任を忘れずに、健全な利用方法を心がける必要があると思う。また、社会的孤立は犯罪や自殺のリスクを高める要因である。私たちは周囲の人と積極的に関わり合い、支え合うことで孤立を防ぐことができると思われる。またそのようにみんなで努力をしよう。