忘れないで欲しいホームレス 

世相

  不況になると路上生活者が増える。学生の頃、上野駅に眼を避けたくなるような姿の戦災孤児が路上にいた。可哀想にと思うと同時に、国はこの孤児達に何もしないのかと思った。戦争を始めたのは国であり、その戦争で家族・家庭を失い、その日を生きるのに精一杯の孤児達が生まれたのは国のせいだ。国はもっと積極的に孤児達の保護が出来ないものかと思った。調べてみると戦災孤児の保護はやっていたみたいだ。戦災孤児の保護を孤児狩りと称するなど,邪魔者を排除するようなやり方と、保護施設の脆弱さは孤児が施設から逃げ出すなど、保護政策は必ずしもうまくいったとは言えない。その時と今は、状況は違うが、最近とみに路上生活者が増えてきたように思う。

 厚生労働省が2017年に発表した資料では、男性が路上生活をするようになった理由として最も多かったのは「倒産や失業」が27.6%、次いで「仕事が減った」が26.5%で、また、「病気・けがや高齢」が17.4%、「人間関係」が17.0%の割合となっていた。女性では「家庭内のいざこざ」が最も多く18.9% 、次いで「アパート等の家賃が支払えなくなった」が13.2%であった。

  ドキュメンタリー番組などを見て、仕事を失い,家族にも見放され、段ボールで作った寝床で寒い夜空の下過ごす高齢の人達に何と言えない想いを抱いた。国はホームレス自立支援施策として、2002年8月に成立した「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法」に基づき、2003年7月に「ホームレスの自立の支援等に関する基本方針」を策定した。ホームレスの人は住所が無くても生活保護を受けることができるが、自分は利用できないと思っている人が多いみたいだ。ホームレスに生活保護が受けられる事実を伝えることが必要と考える。さらに自立支援センターや、更生施設での集団生活が嫌で生活保護を受けないという。自立支援センターや、更生施設の環境が、劣悪であることが原因とも言う。戦災孤児の時と同じである。この環境の整備も欠かせないだろう。戦後も今も,官僚・役所の考え方は変わらない。名前だけの施設を作れば、やったと思っているのであろう。官僚、政治家は、裏金パーテーをやっている暇があったら、そういう所を回ってみるとよい。

 そして明らかに路上生活者の高齢化や路上(野宿)生活期間の長期化など、最近の路上生活者の動向やそれを取り巻く環境の変化は悪化しているように思われる。今後社会の高齢化が進むと一層酷くなるようにも思われ,自分の身に起こったらと思うと耐えられない。これからの経済構造は経済格差を拡大するだろうし、今安定している年金生活の高齢者もこの後どうなるか分からない。ホームレスの人たちが自分の力で生活再建できるようにするためには、就労支援や生活相談や心理的ケアなどの総合的な支援が必要である。また、社会的孤立から抜け出すためには、人とのつながりや希望を持つことができる場所や機会が必要であろう。ボランテイアなど一般市民の善意に頼ることなく、国が責任をもって今の支援が適切か省みて、もっと積極的な対策を講じて欲しい。

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