人間ドック 

世相

  人間ドックとは、病気の早期発見や予防のために受ける検査のことである。しかし、本当に人間ドックは健康に役立つのであろうか?実は、人間ドックには多くの問題点があり、信じすぎると逆効果になることもある。人間ドックには以下のような問題点がある。

・精度が低い

  人間ドックで行われる検査は、一般的な健康診断と比べても精度が高いとは言えない。例えば、胃カメラや大腸カメラは、検査対象の部位を完全に覆えないため、見逃しや誤診の可能性があり、また、血液検査や尿検査では、正常値の範囲が広く、個人差も大きいため、異常値が出ても病気とは限らないそうだ。

・副作用がある

  人間ドックで行われる検査は、無害ではない。例えば、レントゲンやCTなどの放射線検査は、細胞にダメージを与える可能性があり、また、胃カメラや大腸カメラなどの内視鏡検査は、感染症や出血などの合併症を引き起こす可能性があるそうだ。

・過剰診断:人間ドックでは、症状がなくても微妙な異常を見つけてしまうことがあり、これを過剰診断という。過剰診断は、不必要な治療や検査を受けさせたり、不安やストレスを与えたりすることがあり、例えば、胸部X線で見つかった肺の小さな影は、ほとんどが良性のもので、治療や経過観察が必要ない場合が多いだそうだ。

・偽陽性:人間ドックでは、実際には病気ではないのに病気であると誤って判断されることがあり、これを偽陽性という。偽陽性は、正しい診断を得るために追加検査を受けさせたり、不安やストレスを与えたりすることがあり、例えば、乳がん検診でマンモグラフィーを受けた女性の約10%は偽陽性となり、生検や超音波検査などを受ける必要があるそうだ。

・偽陰性:人間ドックでは、実際には病気であるのに病気ではないと誤って判断されることがあり、これを偽陰性という。偽陰性は、病気の発見や治療が遅れたり、安心感から不摂生をしたりすることがある。例えば、子宮頸がん検診で細胞診を受けた女性の約30%は偽陰性となり、実際には子宮頸がんである可能性があるそうだ。

・効果不明:人間ドックでは、受けることで死亡率や罹患率が低下するかどうか明確なエビデンスがない検査もある。例えば、前立腺がん検診では、PSA(前立腺特異抗原)値を測定するが、これによって死亡率や罹患率が低下するかどうかは確かめられていない。

・無駄が多い

  人間ドックで行われる検査は、必要以上に多く、無駄が多いと言われている。例えば、健康な人が人間ドックを受けると、約10%の確率で異常所見が出るが、そのほとんどは偽陽性であり、追加検査や治療の必要はないようだ。しかし、偽陽性によって不安やストレスを感じたり、医療費や時間を無駄にしたりすることになる。

  20年ほど前に人間ドックを、同時期に複数受けた人がいた。昔はおもしろい人もいる者だ。お金も馬鹿にならないだろうに。検査結果は「異常なし」から「肝腫瘍の疑いあり」まで、まちまちまちであった。さらに血液検査の数値も誤差と呼べる範囲を超え、ばらばらだったという。人間ドックは病院経営の重要な収入源で、医者が「一年に一度は人間ドックに入った方良い」と連呼するのもお客を増やす狙いがあるのだろう。ただし人間ドックを受ける必要性は、人それぞれで、自分の健康状態やリスク因子によって変わり、例えば、家族歴や生活習慣などで病気の発症リスクが高い場合や、自覚症状がある場合は、人間ドックを受けるメリットが大きいかもしれない。自覚症状がある場合は人間ドックとは呼ばないか。以上のように、人間ドックには問題点が多くある。さー今年は人間ドックをどうしようか。複数回受けるか、はたまた受けないか迷うところである。

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