「政治的公平」に関する放送法の解釈について 

世相

                           (磯崎補佐官関連)

「放送法」の流出した文書を載せる。本当に長い文書だが我慢して読んで欲しい。

平成 26 年11 月 26 日(水)

 磯崎総理補佐官付から放送政策課に電話で連絡。内容は以下の通り。

 ・ 放送法に規定する「政治的公平」について局長からレクしてほしい。

・ コメンテーター全員が同じ主張の番組(TBS サンデーモーニング)は偏っているのではないかという問題意識を補佐官はお持ちで、「政治的公平」の解釈や運用、違反事例を説明してほしい。

28 日(金):磯崎補佐官レク

磯崎補佐官から、「政治的公平」のこれまで積み上げてきた解釈をおかしいというものではないが、①番組を全体で見るときの基準が不明確ではないか、②1つの番組でも明らかにおかしい場合があるのではないか、という点について検討するよう指示。

12 月 18 日(木)、25 日(木):磯崎補佐官レク

 さらに前向きに検討するよう指示。(補佐官は年明けに総理に説明したうえで、国会で質問したいとのこと。)

平成 27 年1 月 9 日(金):磯崎補佐官レク

 総務省からの説明を踏まえた資料を補佐官側で作成するので、本資料に関する協議を事務的に進めるよう指示。

16 日(金)、22 日(木):磯崎補佐官レク

 総務省からの補佐官資料に対する意見は先祖帰りであり、前向きに検討するよう指示。

29 日(木):磯崎補佐官レク

 補佐官了解。今後の段取り(国会質問等)について認識合わせ。

2 月 13 日(金):高市大臣レク(状況説明)

 17 日(火):磯崎補佐官レク(高市大臣レク結果の報告)

24 日(火):磯崎補佐官レク(官房長官レクの必要性について相談)

3 月 2 日(月):山田総理秘書官レク(状況説明)

3 月 5 日(木):磯崎補佐官から安倍総理に説明(今井・山田総理秘書官同席)

※3/5 山田総理秘書官から、3/6 磯崎補佐官から、総理への説明模様を報告。

 9 日(月):平川参事官から安藤局長に連絡(高市大臣と安倍総理の電話会談結果)

 13 日(金): 山田総理秘書官から安藤局長に連絡(高市大臣と安倍総理の電話会談結果)

4 月 1 日(水)~4 月 7 日(火):答弁案の調整

 ※山口補佐官付と放送政策課・西潟補佐の間でやりとり。

5 月 12 日(火):参・総務委員会

 (自)藤川政人議員からの「政治的公平」に関する質問に対し、磯崎補佐官と調整したものに基づいて、高市大臣が答弁。

礒崎総理補佐官ご説明結果(概要)

日時 平成26年11月28日(金) 13:15~13:40

場所 官邸(礒崎総理補佐官室)

先方 礒崎補佐官(○)、山口補佐官付

当方 安藤情報流通行政局長、長塩放送政策課長、西がた(記)

◆経緯◆

11月26日(水)、礒崎補佐官室から、放送法に規定する「政治的公平」について局長からの説明をお願いする旨の連絡があり、ご説明に上ったもの。補佐官のご発言の概要は以下のとおり。礒崎補佐官は11月23日(日)のTBSのサンデーモーニングに問題意識があり、同番組放送後からツイッターで関連の発言を多数投稿。

○)今すぐ何かアクションを起こせというわけではない。放送の自律、BPOが政治

的公平についても扱っていること等は理解。これまで国会答弁を含めて長年にわたり積み上げてきた放送法の解釈をおかしいというつもりもない。他方、この解釈が全ての場合を言い尽くしているかというとそうでもないのではないか、というのが自分の問題意識。

○)聞きたいことは2つある。まず1つ目だが、1つの番組では見ない、全体で見るというが、全体で見るときの基準が不明確ではないかということ。「全体でみる」「総合的に見る」というのが総務省の答弁となっているが、これは逃げるための理屈になっているのではないか。そこは逃げてはいけないのではないか。

○)(確かに様々な事例、事案があるので、「基準」を作れとは言わないが)総務省としての考え方を整理して教えて欲しい。

○)もう一つは、一つの番組でも明らかにおかしい場合があるのではないかということ。今までの運用を頭から否定するつもりはないが、昭和39年の国会答弁にもあるとおり、絶対おかしい番組、極端な事例というのがあるのではないか。これについても考えて欲しい。有権解釈権は総務省にあるのだから、放送法の解釈としてもう少し説明できるようにしないといけないのではないか。

○)今は政府側の立場なので質問できないが、いずれ国会で質問したい。予算委員会でもいい。もちろん、事前によく摺り合わせてからやりたい。けんかになるから具体論はやらない。あくまで一般論ベースでやりたい。1つの番組で明らかに(政治的公平の観点から)おかしい、と判断できる極端な場合はどういうものか。また、これまでの「番組全体でみる」「総合的に判断する」とある「総合的」とはどういうものなのか。これまでの解釈を改めろと言っているのではなく、もう少し説明を加えてくれという話であり、これを国会の場で質したい。

○)言いたいことは以上。2~3日の内にとは言わないので、選挙後にでも考えを聞かせて欲しい。

(以上)

【配布先】桜井総審、福岡官房長、今林括審、局長、審議官、総務課長、地上放送課長 ← 放送政策課

【参考】

○ なお、放送法は、第1条の目的で規定するとおり、放送事業者による自律の保障を基本としているところ。

○ これを受けて、第3条で放送番組編集の自由を保障した上で、第4条で放送番組の編集に当たり、放送事業者が遵守すべき事項として規定されている「政治的に公平であること」などの放送番組編集準則等についても、放送事業者の自主・自律的な取組により担保されるべきものというのが放送法の基本的枠組み。

○ こうした中、放送事業者による自律的取組としてBPOが設立されている。「政治的公平」の観点からのBPOへの申立てについては以下のとおり。

・ BPO放送倫理検証委員会に対しては、視聴者誰でも「視聴者意見」を提出すること ができる。(電話、FAX、郵送、インターネット等で受付け。様式等の定めはない。)

・ 視聴者意見等を基に事務局が事前調査を行い、委員会として審議又は審理すべき事案 かどうかを議論。

審議又は審理すべきと判断された事案に対して、「審議入り」・「審理入り」を決定。

・ 委員会の担当委員らが、関係者へのヒアリング等の調査を行う。

・ 調査を基に、放送倫理違反や虚偽・捏造の有無を判断し、「意見」・「勧告」・「見解」を放送局に通知するとともに、記者会見を行い、結果を広く公表。

※なお、近年における放送倫理検証委員会からの政治的公平に係る指摘事項は別紙のとおり。

政治的公平について 平成26年11月28日

総務省情報流通行政局

○ 放送法第4条第1項第2号の規定により、放送事業者は、その番組の編集にあたり、「政治的に公平であること」が求められている。

○ ここでいう「政治的に公平であること」とは、政治的な問題を取り扱う放送番組の編集に当たっては、

「不偏不党の立場から特定の政治的見解に偏ることなく、放送番組全体としてバランスのとれたものであること」である。

○ その判断にあたっては、一つの番組ではなく、放送事業者の番組全体を見て判断することとなる。放送法における「政治的公平」について

事業者 番組名 事案内容 放送倫理委員会の意見

長野朝日放送

信越放送

abnステーション

(H22.6.22)

SBNニュースワイド

(H22.7.8)

比例代表について、長野県に在住もしくは党県連に所属している4人の候補者のみを取り上げて放送した。

・参院選に立候補した186人のうち4人のみと、12の政党・政治団体のうち3政党のみを採り上げ、明らかに政治的に不公平な扱いをする結果を招いている。

・参議院比例代表選挙にかかわる番組において、長野県関係の候補者に同県内の有権者の関心をむかわせ、ひいてはそれらの候補者に投票することを誘導する効果を生みかねない危うさがあったことにも留意すべきであった。

TBS 関口宏の東京フレンドパークⅡ

(H22.6.28)

参院選公示後に「蓮舫議員の所属政党を残せ」というクイズが出題された番組を放送した。

・選挙期間中に、1人の議員の名前をその所属する政党と結びつけるという演出によって、議員の名前や政党名が繰り返し放送さることになった。視聴者にその特定の候補者の名前を印象づける効果を生じさせた可能性を否定できないところである。

BSジャパン 絶景に感動!思わず一句 初夏のぶらり旅

(H22.7.11)

参院選の投票日当日に山口県選挙区に民主党から立候補した俳優の原田大二郎候補が出演した番組を放送した。

・候補者が出演していた点で、民放連の放送基準に違反することは明らか。

・7月11日の放送後にインターネット上の指摘でようやくミスに気がついており、選挙に対する関心の低さが際立っているように思われる。

日本BS放送 ‘‘自’’論対論 参議発

(H23.1.12~3.30)

自民党の山本一太議員と丸川珠代議員の2人が司会進行を務め、毎回、自民党の参議院議員をゲストに招いてトークを繰り広げる番組を放送した。ゲストとして出演したこれらの自民党議員は、11回の放送で合計24人、のべ43人だった。

・本件番組とほぼ同時期に放送された日本BS放送の8つの政治番組のべ43本を視聴したところ、司会者とゲストの全員が特定の政党の議員で独占され、それがワンクール継続して放送された番組は本件番組だけだった。

・ワンクール11回を通じて司会者とゲストの全員が同一の政党の議員で独占された本件番組は、一つの番組として一党一派に偏しており、かつ、日本BS放送の番組編成全体の政党間のバランスの点から見ても一党一派に偏したもので、政治的公平を損なったものと言える。

関西テレビ スーパーニュースアンカー

(H25.6.10)

参院選公示予定日の24日前に、参院選比例代表に自由民主党から立候補が予定されていた太田元知事の選挙準備活動を放送した。

・公示予定日1か月前を切った時期に、特定の立候補予定者のみを取り上げて放送したことは、選挙の事前運動と同等の機能を果たしていると言わざるを得ず、選挙の公平・公正性を損なう放送倫理違反があったと判断する。

テレビ熊本 百識王

(H25.7.21)

参院選投票日当日に、参院選比例代表に自由民主党から立候補した渡邉美樹候補が出演した番組を放送した。

・特定の候補者だけを投票日当日に放送するというミスが視聴者に与える印象の程度は、他の候補者との間で、公平・公正性が害されるおそれのある程度にまで達しているものと考えられる。立候補者情報が適切に必要部署に渡らなかった背景に、選挙に対する全社的な意識づけの不足があった点も踏まえて、放送倫理違反があったと判断する。

政治的公平に係るBPO「放送倫理検証委員会」の指摘事例

(注)BPOホームページ(http://www.bpo.gr.jp/)「BPOからの提言・声明・見解」より作成

礒崎総理補佐官ご説明結果(2R概要)

日時 平成26年12月18日(木) 16:20~16:45

場所 官邸(礒崎総理補佐官室)

先方 礒崎補佐官(○)、山口補佐官付

当方 安藤情報流通行政局長(×)、長塩放送政策課長、西がた(記)

前回ご説明(11月28日(金)午後)の際の礒崎補佐官から指摘を踏まえ、別添

の資料に沿って安藤局長から再度ご説明。主なやりとりは以下のとおり。

○)放送番組の「政治的公平」について、「番組全体を見て判断する」ことは理解するが、これまでの答弁はそこで止まっている。番組全体でどうなっていればいいのか、ポジに答えてほしい。また、番組全体でのバランスの説明責任はどこにあるのか。「番組全体でどうバランスを取っているのか問われれば、放送事業者が責任を持って答えるべきものと考えます」というような答弁はできないものか。

○)後段の問について、一つの番組において政治的公平を欠く極端な事例というのは論理的にはあるはず。例えばコメンテーターが「明日は自民党に投票しましょう」と言っても総務省は「番組全体で見て判断する」と言うのか。反対する考え方に一切触れず一党一派にのみ偏る番組といった極端な事例について、もう少し考えてみてほしい。

(注)補佐官から、「番組の中で一党の党首が語るのは問題ないが、最近の番組は『番組(のコメンテーター)が語っている』からおかしい」との言あり。

×)ご趣旨を踏まえ、答え方を工夫してみます。

○)政治的公平に係る放送法の解釈について、年明けに(補佐官から)総理にご説明しようと考えている。流れとしては、①現行の解釈(番組全体を見て判断)があり、その中で、②番組全体のバランスとしてどういうものが求められているのか、また、③一つの番組として政治的公平を欠く極端な事例とはどういうものなのか、という論点を整理するものをイメージしている。

×)(安藤局長から具体的な進め方について確認したところ、)

○)もちろん、官邸(補佐官)からの問合せということで、(多分変わらないだろう

から)高市大臣にも話を上げてもらって構わない。こちら(官邸)で作るペーパーとそちら(総務省)で作るペーパーの平仄を合わせる作業を進めてほしい。こちらの資料も高市大臣にお見せしてもらって構わないし、こちらのペーパーを埋めるための回答ぶりについても早急に検討してほしい。政治プロセスは来年に入ってからだが、ペーパー自体は年内に整理したい。

×)一定の整理が出来た段階で、官邸(補佐官)からの問合せということでそのペーパーで返したいと高市大臣に説明した上で政治プロセスに入る形でお願いしたい。

○)それは構わない。迷惑はかけないようにする。

(以上)

【配布先】桜井総審、福岡官房長、今林括審、局長、審議官、総務課長、地上放送課長 ← 放送政策課

礒崎総理補佐官ご説明結果(3R概要)

日時 平成26年12月25日(木) 16:40~17:15

場所 官邸(礒崎総理補佐官室)

先方 礒崎補佐官(○)、山口補佐官付

当方 安藤情報流通行政局長(×)、長塩放送政策課長、西がた(記)

前回ご説明(12月18日(木)午後)の際の礒崎補佐官から指摘を踏まえ、別添

の資料に沿って安藤局長から再度ご説明。補佐官の主な発言は以下のとおり。

(1.番組全体で判断することについて)

○)中味的にはそういうことだが、「A」とか「B」とか、(番組で)「取り上げる」というのは抽象的で政治家には解りにくい。今の書き方では具体的な画が浮かばない。具体的な例を示してほしい。番組全体で判断するというこれまでの解釈に文句を言っている訳ではない。以前の総理の記者会見の例(注)は分かりやすいが応用が利かない。

○)国民の意見が分かれるような課題について、ある番組で一方の主張のみを放送した場合に、他の番組で他の主張について放送していれば政治的公平性が保たれている、くらいのことは言えないのか。具体的に書いてほしい。

(注)NHKの7時のニュースでは(衆院解散の)総理会見のみを放送し、9時のニュースでは総理会見に加えて他党の党首のコメント等も放送しているから番組全体として政治的公平性が確保されている例。

(2.政治的公平性の説明責任について)

○)基本的にはこういうことなんだろうな。

「広く社会的に問われた場合」というのはどういう場合か。

×)例えば新聞紙上で大きく取り扱われる場合が該当すると考えている。

○)「広く」「社会的に」どちらかでいいだろう。「社会的に問われた場合」というのは国会で取り上げられることも含まれるんだろうな。(言いっ放し)

(3.一つの番組をもって政治的公平を欠く極端な事例について)

○)選挙関連の事例(選挙投票日前日の番組でアナウンサーが特定の政党への投票を促す発言を行った場合)は「答」に書いてくれ。「選挙は別枠」というのは一つの考え方。前日に限らず、特定の政党・候補者のみを対象とする番組を作るというのは明らかに公平ではないだろう。

○)(極端な事例として挙げられている)「総合的な検証をも要さない事例」では答になっていない。これでは抽象的すぎて分からない。もっと(補佐官の)意に沿ったものを持って来てほしい。ここで抵抗しても何のためにもならない。

○)この部分は昭和39年の答弁以来明確にせずに(逃げて)きた部分なんだろうが、極端な事例はあることくらいは認めるべきではないか。

【配布先】桜井総審、福岡官房長、今林括審、局長、審議官、総務課長、地上放送課長 ← 放送政策課

×)(極端な事例として「総合的な検証も要さない事例」を挙げていることを説明するもご理解いただけず。)

○)選挙以外にも(一つの番組をもって政治的公平を欠くような)極端な事例がないはずがない。「国民の意見が二分される問題について、一方の主張をまったく放送せず、もう一方の見解に加担する番組を執拗に繰り広げるような番組」は一つの番組として政治的公平の観点から番組準則違反にならないのか。それはいくらなんでもおかしいだろう。他の番組とのバランスで判断されることは分かっていると前から言っている。一つの番組だけでは「どんなに極端な内容であっても政治的公平の観点では違反にならない」と国会で答弁するのか。

○)山本一太(議員が司会をしていた)番組(平成23年のBSイレブンの番組で同年にBPOが放送倫理に反するとの意見を公表)はおかしいはず。あれがおかしくないとするのなら、例えば自民党番組のあとに民主党番組をやれば政治的公平性は確保されていると国会で答弁するのか。(放送法1条の)不偏不党に反する、一党一派に偏する極端な事例に該当する線引きがどこかにあるはず。具体的な線引きについては、特定の政党の主張に極端に加担するとか、具体的な書きぶりは匙加減もあるだろうし、知恵を出してほしい。書きぶりを考えてもらう際には、一つの事例として、「国論を二分するような場合」というのを入れてほしい。将来に憲法改正があるかもしれないし、その時に賛成ばかりの放送でも反対ばかりの放送でも困るのではないか。

○)選挙の事例を一つ、その他の事例を一つ。一つの番組で政治的公平を欠くような

「極端な事例」を考えて持って来てほしい。

(4.その他)

○)答弁としてきちんとした文章にしたいのも分かるが、まずはエッセンスを持って来てほしい。(山口)補佐官付とも調整しておいてほしい。ちゃんとした答を年明けに持って来てほしい。

(以上)

礒崎総理補佐官ご説明結果(4R概要)

日時 平成27年1月9日(金) 17:10~17:20

場所 官邸(礒崎総理補佐官室)

先方 礒崎補佐官(○)、山口補佐官付

当方 安藤情報流通行政局長(×)、長塩放送政策課長、西がた(記)

前回ご説明(12月25日(木)午後)の際の礒崎補佐官から指摘を踏まえ、別添

の資料に沿って安藤局長から再度ご説明。補佐官の主な発言は以下のとおり。

【1.本日の資料と今後の進め方について】

○)論理としてはこれで良い。総務省に努力いただいていることは十分わかった。

 「極端な例」を挙げてくれと言ったのはこっちだが、「投票日前日」の話とか、放送局が「(他党の政治的見解を)放送で取り上げる意志がない旨表明する」というのは極端すぎて応用が利かない。もう少し普遍性があってもいいのではないか。

○)気持ちは通じてきているので、1回こちら(礒崎補佐官)で書いてみたい。それで問題があれば文句を言ってくれ。ようは法令協議をやろう。メールベースのやりとりでいいのではないか。(帰庁後本日の資料の電媒を補佐官付の山口氏に送付)

【2.資料についての補佐官の指摘事項】

(後段の「一つの番組のみをもって、当該放送事業者の放送番組編集が「政治的公平」を

欠き、放送法の放送番組準則に抵触することとなると考えられる例」について)

○)(1つめの選挙期間の例について)「投票日前日」とするのは例示として具体的すぎではないか。「特定の政党への投票を促す」というのも、それはそれでアウトだが、さすがにテレビでここまでやることはないだろう。

○)立候補予定者の宣伝になるような、とか、例えばBPOが意見を公表した蓮舫(議員)の件(注)のようなレベルで例示できないか。

(注)TBSの「関口宏の東京フレンドパークⅡ」(平成22年6月28日放送)において、参院選挙期間中にもかかわらず、ゲストが(アドリブで)ピンクレディーの「UFO」の替歌として「UFO」を「蓮舫」に変えて歌ったもの。

○)(2つめの「国論を2分するような政治的問題」に関する例について)「特定の政党」とあるが、政党だけに限られるのか。政治的に公平であることが求められるのは政治的意見であり、政党だけのものではないのではないか。

○)「他党の政治的見解について取材したり放送で取り上げる意志がない旨表明」の行についても、さすがに放送局がこれを表明することはないだろう。「もう一方の主張はまったく紹介しない」とか、「『不偏不党』が疑わしい」とか、もう少し普遍性がある形で例示できないか。

(以上)

【配布先】桜井総審、福岡官房長、今林括審、局長、審議官、総務課長、地上放送課長 ← 放送政策課

「政治的に公平であること」について

○ 一つの番組ではなく、放送事業者の番組全体として「政治的に公平であること」に沿っていると考えられる具体例

・国論を2分するような政治的問題について、ある番組では特定の政党の政治的見解のみを取り上げて放送した場合であっても、不偏不党の立場から、他の番組で、他党の政治的見解を取り上げて放送しているような場合

○ 一つの番組のみをもって、当該放送事業者の放送番組編集が「政治的公平」を欠き、放送法の放送番組準則に抵触することとなると考えられる例

・選挙期間中の投票日前日に、特定の政党への投票を促す番組を編集し、放送を行った場合

・国論を2分するような政治的問題について、ある番組の中で、特定の政党の政治的見解のみを取り上げて執拗に繰り返し放送し、当該放送局として他党の政治的見解について取材したり放送で取り上げる意思がない旨表明するなど、当該放送事業者の放送番組編集の考え方としてその特定の政党の政治的見解以外の政治的見解を放送する意思がないことが客観的に明らかな場合

○ 放送法(昭和二十五年五月二日法律第百三十二号)

(目的)

第一条 この法律は、次に掲げる原則に従つて、放送を公共の福祉に適合するように規律し、その健全な発達を図ることを目的とする。

一 (略)

二 放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによつて、放送による表現の自由を確保すること。 (放送番組編集の自由)

第三条 放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。 (国内放送等の放送番組の編集等)

第四条 放送事業者は、国内放送及び内外放送(以下「国内放送等」という。)の放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。

一 (略)

二 政治的に公平であること。

礒崎総理補佐官室からの連絡

(放送番組編集の政治的公平について)

日時 平成27年1月13日(火)16:15 先方から入電

先方 礒崎総理補佐官室 山口氏(○)

当方 放送政策課 西がた(×)

○)先日(1/9)にいただいた資料をベースに(礒崎)補佐官が書いた案をメールでお送りした。補佐官からは、

・(総務省の立場から見て問題あれば)自由に意見を言っていただきたい。

・時間がないため、早急に回答をいただきたい。とのこと。

×)「早急に」とはどのくらいのスピード感を想定しているか。

○)具体的な指示はないが、自分(山口氏)の感触としては、明日の朝補佐官が官邸に登庁される予定であり、その際にお送りしたペーパーについて訊かれると思料。感触レベルのものも含め、何らかの「回答」ができればありがたい。

(その際の回答はメールベースで十分であるとのこと)

(当方から、過去に補佐官と各省の間で類似する事例の有無を訊いたところ、)

○)安全保障のように複数省庁を跨ぐ案件について補佐官が落とし処の調整をしたことはこれまでもあったが、今回のようなケースは記憶にない。他方、補佐官がこうした調整に乗り出す場合、「自由に意見を」ということも記憶にない(書き出したら「突っ走る」イメージ)。

○)補佐官は、今回の件で放送担当部局が(補佐官の意に沿う形では)回答しづらいことは理解されており、前回(1/9)ご説明の際に補佐官のご指摘に沿う資料を調製いただいたことには相当感謝していた。省内の調整等のご尽力を理解しつつ、これ以上総務省が回答を書くのは厳しいのではないかという問題意識から、今回自ら「書いてみた」ものと理解している。

×)今回の調整が一定程度セットされた時点で高市大臣にもお諮りするという段取りでよいか。

○)(山口氏も)「時間がない」の意味を正確に理解しきれていないが、そのように理解している。

×)(安藤)局長は外出中であるが、至急対応を検討したい。

○)夕刻(定時頃)再度ご連絡したい。

(以上)

放送法における政治的公平に係る解釈について(案)

1 現行の政府解釈

放送法における政治的公平性については、昭和 39 年 4 月 28 日の参議院逓信委員会における郵政省電波監理局長答弁以来、次のような解釈を採っている。

○ 放送法第4条第1項第2号の規定により、放送事業者は、その番組の編集に当たり、「政治的に公平であること」が求められている。

○ ここでいう「政治的に公平であること」とは、政治的な問題を取り扱う放送番組の編集に当たっては、「不偏不党の立場から特定の政治的見解に偏ることなく、放送番組全体としてのバランスのとれたものであること」である。

○ その判断に当たっては、一つの番組ではなく、放送事業者の番組全体を見て判断することとなる。

2 問題点

これまでの政府解釈には次のような問題点があり、放送の政治的公平を判断する上で、具体的な基準となり得なかった嫌いがある。

① これまで、「一つの番組ではなく、放送事業者の番組全体を見て判断する」との答弁に終始し、どのような番組編集にすれば放送事業者の番組全体を見て「政治的に公平である」と判断されるのか、具体的な基準を示してこなかった。

② 同様に、「政治的に公平である」ことの説明責任の所在についても、明確に示してこなかった。

③ 放送事業者の番組全体を見なくても、一つの番組だけを見たときに、どのように考えても「政治的に公平であること」に反する極端な場合が実際にあり得るが、このことについて政府の考え方を示してこなかった。

3 解釈について補充的説明

今後は、国会質疑等の場で、次の内容に沿って、従来の政府解釈について、補充的説明を行うものとする。

① 例えば、ある時間帯で総理の記者会見のみを放送したとしても、後のニュースの時間に野党党首のそれに対する意見を取り上げている場合のように、国論を二分するような政治的課題について、ある番組で一方の政治的見解のみを取り上げて放送した場合であっても、他の番組で他の政治的見解を取り上げて放送しているような場合は、放送事業者の番組全体として政治的公平を確保しているものと認められる。

② 政治的公平の観点から番組編集の考え方について社会的に問われた場合には、放送事業者において、当該事業者の番組全体として政治的公平を確保していることについて、国民に対して説明する必要がある。

③ 一つの番組のみでも、次のような極端な場合においては、「政治的公平」を欠き、放送番組準則に抵触することとなる。

・選挙期間中又はそれに近接する期間において、特定の候補者や候補予定者のみを殊更に取り上げて放送した場合のように、選挙の公平性に明らかに支障を及ぼすと認められる場合

・国論を二分するような政治的課題について、ある番組の中で、一方の政治的見解を取り上げず、他の政治的見解のみを取り上げて執拗に繰り返した場合のように、当該放送事業者の番組編集が不偏不党の立場から明らかに逸脱していると認められる場合

礒崎総理補佐官室からの連絡事項等

日時 平成27年1月15日(木) 夕刻以降数次

先方 礒崎総理補佐官室 山口氏(○)

当方 放送政策課 西がた(×)

礒崎補佐官への再レクの日程調整を行う過程で、補佐官のお考え等について補佐官

付(山口氏)から連絡があったもの。主なやりとりは以下のとおり。

○)補佐官は本日はもともとご機嫌が悪かったのだが、いただいた縦書きの説明資料で「その後の番組」の議論が展開されており、疑心暗鬼になり、激高する結果になったものと考えている。

補佐官の頭の整理は、①グレーな番組については番組全体でプラスマイナスがあることは理解(これまでの整理を肯定)した上で、②一発アウトになり得る本当にひどいクロの番組があるはずだというもの。前回ご説明いただいた際、補佐官から「事例が極端すぎる」等の指摘はあったが、補佐官としてもこうした根っこの部分は共有できたと考えていたところ。

×)前回の資料においても、(補佐官から「応用が利かない」等のご指摘はあったものの)「・・・放送法の放送番組準則に抵触することとなると考えられる例」として選挙の事例と国論を2分する事例をお持ちした訳であり、その部分は共有しているはずである。他方、補佐官自らお書きいただいたものにケチつけるつもりはないが、選挙の事例で言えば、「特定の候補者や候補予定者のみを殊更に取り上げて放送」するだけでクロになるとは、少なくとも当方は考えられない。補佐官が「殊更に」という言葉でどういう事態を想定されているのか不知であるが、この部分の読み方によってはBPOの蓮舫議員の事案も(議員の名前をテレビで連呼しただけで)番組準則違反に直結することになりかねない。そんな整理は業界も学会も持たない。当方としては、今回補佐官からいただいた事案はいずれも「グレー」のものであると判断し、グレーであるがゆえに「その後の他の番組で」という議論をさせていただいたところである。

○)本日の修正案の「可能性がある」を加筆することについて、補佐官は「このままでは抜け穴が大きすぎる」とのことだった。他方、「一般論として(放送番組準則に抵触する)」とか「(放送番組準則に抵触する)場合がある」とか、(何らかの留保をつけることについて)「勘弁してほしいということであれば話は聞く」とも言っていた。(注)補佐官から、後刻、「(抵触する)場合がある」とするのは留保として大きすぎるかも、との発言もあったとのこと。

○)自分(山口氏)としては、「可能性がある」のような留保をつける部分だけで折り合いがつかないとなれば、事例のほうで(前回とまったく同じだと補佐官が怒るかもしれないが、)何らかのクロの事例を示すか、あるいは合わせ技として、「小さな留保」と番組準則に抵触する「限りなくクロに近い事例」を例示する形になるのではないかとも考えているがどうか。

×)前回とまったく同じものをお持ちするわけにはいかないが、補佐官からお示しいただいた事例の案に対する修正の案をお持ちすることになるのだろう。

×)ロジの話だが、他省庁でも次官級が呼ばれる案件はあるだろうが、通常はどういう風に仕切るのか。

○)基本的には上の人間だけで腹を割って話し合いをしていただく形になる。技術的な(細かい)話に備え、途中から呼び込まれてもいいように事務方がスタンバイしている事例はこれまでもあった。その際は廊下でお待ちいただくとか、そういう形になると思う。

○)補佐官は当初は激高していたが、自分(山口氏)からも補足してみたところ、徐々にトーンダウンはしている。自分としては、①(どんな例であっても)番組準則に100%抵触するとは言い切れないから柱書に一定の留保をお願いする、また、②抵触することとなる事例についても(前回ほどではないにしても)一定程度極端な事例として対案を議論するということであれば、あすの打合せで激高することはないのではないかと考えている。

×)(以前からいただいているが)ご示唆に感謝。あすもよろしくお願いする。

(以上)

「放送法における政治的公平に係る解釈について(案)」について

<2頁目「3 解釈について補充的説明」「③」(例示)部分関連>

1 具体的な例示の1つめの「・」(選挙に係る例)については、1つの番組で1人の「特定の候補者や候補予定者のみを殊更に取り上げて放送した場合」であっても、その後の選挙期間中に他の番組で他の候補者や候補予定者を同様な形で取り上げて放送する場合も考えられるところであります。このため、仮に1つの番組で「選挙期間中又はそれに近接する期間において、特定の候補者や候補予定者のみを殊更に取り上げて放送した」ことのみをもって、一律に「『政治的公平』を欠き、放送番組準則に抵触する」とした場合、世間一般からそうした他の番組で取り上げるケースをあげて必ずしも一律に「政治的公平」に反することとはならないのではないかとの指摘を受けることが考えられるところであり、このような理由から一律に論ずることについては難しい面があると考えられます。また、「選挙の公平性に明らかに支障を及ぼす」ことは、一般論として決して好ましいことではありませんが、放送番組準則の違反に係る判断の直接の基準としては放送法第4条第1項第2号に定める「政治的に公平であること」とするほうがより望ましいものと考えられます。

2 具体的な例示の2つめの「・」(国論を2分する政治的課題の例)については、「ある番組の中で、一方の政治的見解を取り上げず、他の政治的見解のみを取り上げて執拗に繰り返した場合」であっても、その後の他の番組でもう片方の政治的見解について同様の形態で取り上げられる場合を否定できないところであります。このため、仮に1つの番組で(片方の)「政治的見解のみを取り上げて執拗に繰り返した」ことのみをもって一律に「『政治的公平』を欠き、放送番組準則に抵触する」とした場合、世間一般からそうした他の番組で取り上げるケースをあげて必ずしも一律に「政治的公平」に反することとはならないのではないかとの指摘を受けることが考えられるところであり、このような理由から一律に論ずることについては難しい面があると考えられます。また、「不偏不党の立場から明らかに逸脱していると認められる」ことは、(「不偏不党」が放送法の目的規定に掲げられていることからも)一般論として決して好ましいことではありませんが、放送番組準則の違反に係る判断の直接の基準としては放送法第4条第1項第2号に定める「政治的に公平であること」とするほうがより望ましいものと考えられます。

3 以上のとおり、それぞれの事例については、上述1及び2の前段で述べた事情から、一律に「放送番組準則に抵触する」とすることは難しい面があると考えられることから、「③」柱書後段の「放送番組準則に抵触することとなる。」の行について、例えば「放送番組準則に抵触することとなる可能性がある。」とする修正が可能であれば、提示された2つの事例は、「抵触することとなる可能性がある」ものの例示として示すことは可能と考えられます。 具体的な修正(案)につきましては、別紙のとおりです。

3 解釈について補充的説明

今後は、国会質疑等の場で、次の内容に沿って、従来の政府解釈について、補充的説明を行うものとする。

① 例えば、ある時間帯で総理の記者会見のみを放送したとしても、後のニュースの時間に野党党首のそれに対する意見を取り上げている場合のように、国論を二分するような政治的課題について、ある番組で一方の政治的見解のみを取り上げて放送した場合であっても、他の番組で他の政治的見解を取り上げて放送しているような場合は、放送事業者の番組全体として政治的公平を確保しているものと認められる。

② 政治的公平の観点から番組編集の考え方について社会的に問われた場合には、放送事業者において、当該事業者の番組全体として政治的公平を確保していることについて、国民に対して説明する必要がある。

③ 一つの番組のみでも、次のような極端な場合においては、「政治的公平」を欠き、放送番組準則に抵触することとなる可能性がある。

・選挙期間中又はそれに近接する期間において、特定の候補者や候補予定者のみを殊更に取り上げて放送した場合のように、選挙の公平性に明らかに支障を及ぼすと認められる場合

・国論を二分するような政治的課題について、ある番組の中で、一方の政治的見解を取り上げず、他の政治的見解のみを取り上げて執拗に繰り返した場合のように、当該放送事業者の番組編集が不偏不党の立場から明らかに逸脱していると認められる場合

礒崎総理補佐官レク(5R)結果

(1/16(金)12:00pm、補佐官の発言について安藤局長より口頭報告)

<全体について>

・(当方提出のペーパーは)先祖返りの印象を受けたじゃないか。

<柱書について>

・ 100%アウトとする(番組準則に抵触と言い切る)ことが難しいのであれば、

文章の終わり方(語尾)については相談に乗る余地がある。

・ 「番組準則に抵触」がきついのであれば、例えば「一般的に政治的公平性を欠く」

「(or)政治的公平性が確保されないこととなる」という言い方もあり得るのではないか。工夫してみてほしい。

【補足】山口氏(補佐官付)によると、「可能性がある」はNGだが、本日のレクにおいて「蓋然性が高い」(とすることの可否)についての議論はなかったとのこと。

<選挙の事例について>

・ 「その支持を訴える放送」はあり得ない。応用が利かない。月曜日はA候補・火曜日はB候補という形で通常はバランスするのだろうが、月曜日のA候補だけでアウトとなるような事例を求めている。他方、「その支持を訴える放送」のように、地球の裏側まで突き抜けるようなものはダメ。

【補足】山口氏によると、「事例」は「クロに限りなく近い」ものが必要。特に選挙については、放送事業者の自主規制(ガイドライン)もあるし、「あり得ないところまで飛んでいくな」とのこと。他方、国論を2分する事例については、議論の余地があるとのこと。

 また、本日のレクの場で「日替わり」で密着取材する場合についての議論があり、補佐官も一定の理解を示したが、反面、「1人の密着でアウトになった事例があったのではないか?」と発言されていたとのこと。(※武蔵野CATVの土屋議員の件か(←行政指導)?)

<国論を2分する事例について>

・ (選挙の事例についてもそうだが、)別の番組との間でバランスできるような話があり得るうちはここに記載する事例としては不十分であり、ここに記載する事例を絞っていく作業が必要。書き方を工夫してみてほしい。

3 解釈について補充的説明(略)

① 例えば、ある時間帯で総理の記者会見のみを放送したとしても、後のニュースの時間に野党党首のそれに対する意見を取り上げている場合のように、国論を二分するような政治的課題について、ある番組で一方の政治的見解のみを取り上げて放送した場合であっても、他の番組で他の政治的見解を取り上げて放送しているような場合は、放送事業者の番組全体として政治的公平を確保しているものと認められる。

② 政治的公平の観点から番組編集の考え方について社会的に問われた場合には、放送事業者において、当該事業者の番組全体として政治的公平を確保していることについて、国民に対して説明する必要がある。

③ 一つの番組のみでも、次のような極端な場合においては、「政治的公平」を欠き、放送番組準則に抵触することとなる蓋然性が高い。

 ・選挙期間中又はそれに近接する期間において、当該放送局の意図として特定の候補者や候補予定者のみを殊更に取り上げてその支持を訴える放送をした場合のように、選挙の公平性に明らかに支障を及ぼすと認められる場合

 ・国論を二分するような政治的課題について、ある番組の中で、当該放送局の意図として一方の政治的見解を否定し取り上げず、他の政治的見解のみを取り上げて執拗に繰り返した場合のように、当該放送事業者の番組編集が不偏不党の立場から明らかに逸脱していると認められる場合

礒崎総理補佐官ご説明結果

日時 平成27年1月22日(木) 14:30~14:50

場所 官邸(礒崎総理補佐官室)

先方 礒崎総理補佐官(○)、山口補佐官付

当方 安藤情報流通行政局長(×)、長塩放送政策課長、西がた(記)

礒崎補佐官作成の整理ペーパー案に対し、問題点や修正案について安藤局長からご説明。

主なやりとり以下のとおり。(関係資料は別添のとおり)

×)補佐官からいただいた整理ペーパー(案)の内容について、仮にこの内容で世の中から問われた場合に、(一般論として、という留保はあるにしても)「政治的に公平であることを確保していると『認められない』」と言い切れるかという観点から検証させていただいた。補佐官のご意向を踏まえつつ総務省としても世の中に説明できるものとする観点から内容についてご相談させていただきたい(安藤局長から修正案の内容を説明)。

【1.選挙に関する事例について】

○)(安藤局長の)言っていることは分かる。それぞれの候補を「日替わり」で特集する場合があり得るということだな。他方、どんな場合でも「番組全体で見る」として論理が元に戻るのはダメ。(書きぶりで)工夫する余地はあるだろう。

○)その意味で「単発の(特別番組)」と明記するのは気に入らない。例示として「特別番組」というのはあってもよい。「意図的に」は不要。「殊更に」「候補者・・・『のみ』を」と限定している時点でそうしたことを意図して書いている。(もちろん、あったら困るが、)実際にこんな番組はあり得ないのではないか。

【2.国論を2分する政治的課題の事例について】

○)選挙の事例については「日替わり」の話があり得るということで「特別番組」の例示があって良いが、こちらは特別番組に限定されないだろう。

×)国論を2分する政治的課題についても、例えば一つの番組で片方の主張に賛同する党の議員だけが出演して集中的に議論した後、他方の主張について同様の番組を放送することも考えられ、これだけで番組準則に抵触するとは言い切れない場合があると考える。

○)問題意識は理解できる。その部分については「(片方のみの政治的見解を)支持する内容の放送を繰り返した場合」としてはどうか。

○)放送(テレビ)は番組がすべてであり、(編集の)意図まで聞いたら話にならない。

(→「放送事業者において・・・取り上げる意思がないことが明白である場合」の行の修正

についてはご理解いただけず。)

○)(礒崎補佐官の意図するところとしては)冒頭の「『国論を二分するような』政治的課題について」という限定も利いているはず。消費増税は該当するかもしれないが、そもそもの話として、「国論を二分する」イシュー自体がそれほど多くない。そこであえて片方だけの見解を支持する番組を放送すること自体、実際にはあり得ないのではないか。

【その他】

×)(礒崎補佐官自ら書き込んだ紙を手交され、)本日いただいた案で、もう一度、持ち帰り、総務省として堪えられるものか確認・精査させていただきたい。

○)(もうこれくらいでいいのではないか?と仰りつつ、)分かった。そういえば、先日の調査会でCATVのインターネットの話(NTTの光ファイバの卸売の件)があったな。

昔はCATVのほうが速かったんだが、みんな光だと同じになっちゃうよな。追加になる

が、CATVの件もしっかりやってほしい。本日はご苦労様でした。

(以上)

【配布先】桜井総審、福岡官房長、今林括審、局長、審議官、総務課長、地上放送課長 ← 放送政策課

3 解釈について補充的説明

今後は、国会質疑等の場で、次の内容に沿って、従来の政府解釈について、補充的説明を行うものとする。

① 例えば、ある時間帯で総理の記者会見のみを放送したとしても、後のニュースの時間に野党党首のそれに対する意見を取り上げている場合のように、国論を二分するような政治的課題について、ある番組で一方の政治的見解のみを取り上げて放送した場合であっても、他の番組で他の政治的見解を取り上げて放送しているような場合は、放送事業者の番組全体として政治的公平を確保しているものと認められる。

② 政治的公平の観点から番組編集の考え方について社会的に問われた場合には、放送事業者において、当該事業者の番組全体として政治的公平を確保していることについて、国民に対して説明する必要がある。

③ 一つの番組のみでも、次のような極端な場合においては、一般論として「政治的に公平であること」を確保しているとは認められない。

・選挙期間中又はそれに近接する期間において、殊更に、一の候補者や候補予定者のみを相当の時間にわたり取り上げる単発の特別番組を意図的に設けて放送した場合のように、選挙の公平性に明らかに支障を及ぼすと認められる場合

・国論を二分するような政治的課題について、放送事業者が、殊更に、一方の政治的見解を取り上げず、他の政治的見解のみを取り上げて、相当の時間にわたり繰り返す単発の特別番組を意図的に設けて放送し、事実上当該放送事業者において前者の見解を取り上げる意思がないことが明白である場合(のように、当該放送事業者の番組編集が不偏不党の立場から明らかに逸脱していると認められる場合)

1月22日(木)礒崎補佐官レク資料

 (修正案)

礒崎総理補佐官ご説明結果<未定稿>

日時 平成27年1月29日(木) 17:10~17:25

場所 官邸(礒崎総理補佐官室)

先方 礒崎総理補佐官(○)、山口補佐官付

当方 安藤情報流通行政局長(×)、長塩放送政策課長、西がた(記)

①整理ペーパーに対する修正案について安藤局長からご説明、補佐官了解。②本件の今後の取り運びについて確認。主なやりとり以下のとおり。(関係資料は別添のとおり)

○)(安藤局長からの説明に対し、国論を2分するような政治的課題の極端な事例について、)あくまで「一つの番組」ということでいいんだな?そうであれば、選挙の事例の「・・・特別番組を放送した場合」と言い方を合わせるというのは分かった。修正は了解。総務省の方から「一つの番組」に拘る形の修正を提案されたので最初は趣旨が分からなかった。

×)今回の整理は、総務省としてもギリギリの線と判断しているもの。

×)本件の今後の取り運びについて確認させていただきたい。当方としては、本件は政務にも一切上げずに内々に来ており、今回の整理については高市大臣のご了解が必要。その際の話法としては、①サンデーモーニングの件に加えてこれまでも国会で質問されてきた等、補佐官は従前から放送番組の政治的公平にご関心があったこと、②今般あらためて本件について整理すべきとの問題意識から補佐官のほうで国会質疑を通じた明確化検討している、③その前提となる考え方の整理について補佐官から照会があり数次やりとりをしてきた、というご説明でよいか。

○)問題ない。今回の整理は決して放送法の従来の解釈を変えるものではなく、これまでの解釈を補充するもの。他方、国会での質問としては成り立つ。上手く質問されたら総務省もこう答えざるを得ないという形で整理するもの。あくまでも「一般論」としての整理であり、特定の放送番組を挙げる形でやるつもりはない。

○)高市大臣のご了解が得られれば、自分(補佐官)から今回の整理について総理にご説明し、(国会での質問等について)総理の指示を受ける形にしたい。突然総務省に通告して迷惑を掛けるようなことはしない。総理がどう仰るかにもよるが、いつ誰が質問するかは慎重に決めたい。(補佐官は質問に立てないので)質問は補佐官がきちんとコントロールできる議員にさせる。

×)実際に国会で質問いただく場合、総務省としては、今回整理した「極端な事例」の適否について質問者から例示いただく形(×××のような事例は放送番組は「政治的公平」を欠くのではないか?等)にしていただきたい。総務省のほうから(唐突に)今回の「極端な事例」を答弁することは困難。業界等の反応を懸念。そこはご理解いただきたい。

○)言ってることは分かるが、「極端な事例」が総務省の答弁として残らなければ意味がない。そこは答弁者に繰り返してもらうんだろうな。そういうところは上手くやることが必要。以前も議論したが、日替わりで異なる候補者の特集を組む場合等、総務省のほうで適宜更問を作ることまで干渉しない。整理ペーパーが答弁の形で残ればよい。

○)仮に高市大臣のご理解が得られない等の場合は自分(補佐官)が説明に行ってもいい。

これまでの解釈を変えるものではないし、「極端ではあるがあり得るレベル」の詰めを行うもの。高市大臣のご了解が得られたら連絡してほしい。

×)了。 (以上)

【配布先】桜井総審、福岡官房長、今林括審、局長、審議官、総務課長、地上放送課長 ← 放送政策課

3 解釈について補充的説明

今後は、国会質疑等の場で、次の内容に沿って、従来の政府解釈について、補充的説明を行うものとする。

① 例えば、ある時間帯で総理の記者会見のみを放送したとしても、後のニュースの時間に野党党首のそれに対する意見を取り上げている場合のように、国論を二分するような政治的課題について、ある番組で一方の政治的見解のみを取り上げて放送した場合であっても、他の番組で他の政治的見解を取り上げて放送しているような場合は、放送事業者の番組全体として政治的公平を確保しているものと認められる。

② 政治的公平の観点から番組編集の考え方について社会的に問われた場合には、放送事業者において、当該事業者の番組全体として政治的公平を確保していることについて、国民に対して説明する必要がある。

③ 一つの番組のみでも、次のような極端な場合においては、一般論として「政治的に公平であること」を確保しているとは認められない。

・選挙期間中又はそれに近接する期間において、殊更に特定の候補者や候補予定者のみを相当の時間にわたり取り上げる特別番組を放送した場合のように、選挙の公平性に明らかに支障を及ぼすと認められる場合

・国論を二分するような政治的課題について、放送事業者が、一方の政治的見解を取り上げず、殊更に、他の政治的見解のみを取り上げて、それを支持する内容を相当の時間にわたり繰り返す番組をして放送した場合のように、当該放送事業者の番組編集が不偏不党の立場から明らかに逸脱していると認められる場合

高市大臣レク結果(政治的公平について)

日時 平成27年2月13日(金)15:45~16:00

場所 大臣室

先方 高市大臣(○)、平川参事官、松井秘書官

当方 安藤局長(×)、長塩放送政策課長、西がた(記)

安藤局長から資料に沿って説明。また、補佐官からの伝言(下記のほか、「今回の整理は

決して放送法の従来の解釈を変えるものではなく、これまでの解釈を補充するものである

こと」、「あくまで一般論としての整理であり特定の放送番組を挙げる形でやるつもりはないこと」)について付言。質疑等主なやりとり以下のとおり。

○)「放送事業者の番組全体で」みるというのはどういう考え方なのか。

×)例えば「総理と語る」や「党首と語る」番組はどの局でもあり得るところ、国民のニ

ーズに応えるものでもあり、これだけをもって政治的公平を欠くとすることは不適当。むしろ、与野党も含め、いろいろな番組を通じて多様な情報提供を期待するもの。

○)放送番組の編集に係る政治的公平の確保について、これを判断するのは誰?

×)放送番組は放送法による自律の保障のもと放送事業者が自らの責任において編集する

ものであり、一義的には放送事業者が自ら判断するもの。

○)「一つの番組」についてはどう考えるのか。

×)(このペーパーでいう「一つの番組」は、)報道ステーションなら報道ステーション、モーニングバードならモーニングバードの1回の番組を指している。

×)大臣のご了解が得られればの話であるが、礒崎補佐官からは、本件を総理に説明し、

国会で質問するかどうか、(質問する場合は)いつの時期にするか、等の指示を仰ぎたい

と言われている。

○)そもそもテレビ朝日に公平な番組なんてある?どの番組も「極端」な印象。関西の朝

日放送は維新一色。維新一色なのは新聞も一緒だが、大阪都構想のとりあげ方も関東と関西では大きく違う。(それでも政治的に公平でないとは言えていない中)「一つの番組の極端な場合」の部分について、この答弁は苦しいのではないか?

×)「極端な場合」については、「殊更に」このような番組編集をした場合は一般論としては政治的公平が確保されていないという答弁案になっている。質問者に上手に質問され、

その質問を繰り返す形の答弁を想定しているが、言葉を補う等した上で答弁を用意した

い。

○)苦しくない答弁の形にするか、それとも民放相手に徹底抗戦するか。TBSとテレビ

朝日よね。実際の答弁については、上手に準備するとともに、①(カッコつきでいいので)主語を明確にする、②該当条文とその逐条解説を付ける、の2点をお願いする。

○)官邸には「総務大臣は準備をしておきます」と伝えてください。補佐官が総理に説明

した際の総理の回答についてはきちんと情報を取ってください。総理も思いがあるでしょうから、ゴーサインが出るのではないかと思う。

(以上)

【配布先】桜井総審、福岡官房長、今林括審、局長、審議官、総務課長、地上放送課長 ← 放送政策課 取扱厳重注意

放送法における政治的公平に係る解釈について(案)

1 現行の政府解釈

放送法における政治的公平性については、昭和 39 年 4 月 28 日の参議院逓信委員会における郵政省電波監理局長答弁以来、次のような解釈を採っている。

○ 放送法第4条第1項第2号の規定により、放送事業者は、その番組の編集に当たり、「政治的に公平であること」が求められている。

○ ここでいう「政治的に公平であること」とは、政治的な問題を取り扱う放送番組の編集に当たっては、「不偏不党の立場から特定の政治的見解に偏ることなく、放送番組全体としてのバランスのとれたものであること」である。

○ その判断に当たっては、一つの番組ではなく、放送事業者の番組全体を見て判断することとなる。

2 問題点

これまでの政府解釈には次のような問題点があり、放送の政治的公平を判断する上で、具体的な基準となり得なかった嫌いがある。

① これまで、「一つの番組ではなく、放送事業者の番組全体を見て判断する」との答弁に終始し、どのような番組編集にすれば放送事業者の番組全体を見て「政治的に公平である」と判断されるのか、具体的な基準を示してこなかった。

② 同様に、「政治的に公平である」ことの説明責任の所在についても、明確に示してこなかった。

③ 放送事業者の番組全体を見なくても、一つの番組だけを見たときに、どのように考えても「政治的に公平であること」に反する極端な場合が実際にあり得るが、このことについて政府の考え方を示してこなかった。

3 解釈について補充的説明

今後は、国会質疑等の場で、次の内容に沿って、従来の政府解釈について、補充的説明を行うものとする。

① 例えば、ある時間帯で総理の記者会見のみを放送したとしても、後のニュースの時間に野党党首のそれに対する意見を取り上げている場合のように、国論を二分するような政治的課題について、ある番組で一方の政治的見解のみを取り上げて放送した場合であっても、他の番組で他の政治的見解を取り上げて放送しているような場合は、放送事業者の番組全体として政治的公平を確保しているものと認められる。

② 政治的公平の観点から番組編集の考え方について社会的に問われた場合には、放送事業者において、当該事業者の番組全体として政治的公平を確保していることについて、国民に対して説明する必要がある。

③ 一つの番組のみでも、次のような極端な場合においては、一般論として「政治的に公平であること」を確保しているとは認められない。

・選挙期間中又はそれに近接する期間において、殊更に特定の候補者や候補予定者のみを相当の時間にわたり取り上げる特別番組を放送した場合のように、選挙の公平性に明らかに支障を及ぼすと認められる場合

・国論を二分するような政治的課題について、放送事業者が、一方の政治的見解を取り上げず、殊更に、他の政治的見解のみを取り上げて、それを支持する内容を相当の時間にわたり繰り返す番組を放送した場合のように、当該放送事業者の番組編集が不偏不党の立場から明らかに逸脱していると認められる場合

【参考】

○ なお、放送法は、第1条の目的で規定するとおり、放送事業者による自律の保障を基本としているところ。

○ これを受けて、第3条で放送番組編集の自由を保障した上で、第4条で放送番組の編集に当たり、放送事業者が遵守すべき事項として規定されている「政治的に公平であること」などの放送番組編集準則等についても、放送事業者の自主・自律的な取組により担保されるべきものというのが放送法の基本的枠組み。

○ こうした中、放送事業者による自律的取組としてBPOが設立されている。

「政治的公平」の観点からのBPOへの申立てについては以下のとおり。

・ BPO放送倫理検証委員会に対しては、視聴者誰でも「視聴者意見」を提出することができる。

(電話、FAX、郵送、インターネット等で受付け。様式等の定めはない。)

・ 視聴者意見等を基に事務局が事前調査を行い、委員会として審議又は審理すべき事案かどうかを議論。審議又は審理すべきと判断された事案に対して、「審議入り」・「審理入り」を決定。

・ 委員会の担当委員らが、関係者へのヒアリング等の調査を行う。

・ 調査を基に、放送倫理違反や虚偽・捏造の有無を判断し、「意見」・「勧告」・「見解」を放送局に通知するとともに、記者会見を行い、結果を広く公表。

政治的公平について

○ 放送法第4条第1項第2号の規定により、放送事業者は、その番組の編集にあたり、「政治的に公平であること」が求められている。

○ ここでいう「政治的に公平であること」とは、政治的な問題を取り扱う放送番組の編集に当たっては、「不偏不党の立場から特定の政治的見解に偏ることなく、放送番組全体としてバランスのとれたものであること」である。

○ その判断にあたっては、一つの番組ではなく、放送事業者の番組全体を見て判断することとなる。放送法における「政治的公平」について

【参考条文)】 放送法(昭和25年法律第132号) 抜粋

(目的)

第一条 この法律は、次に掲げる原則に従つて、放送を公共の福祉に適合するように規律し、その健全な発達を図ることを目的とする。

一 放送が国民に最大限に普及されて、その効用をもたらすことを保障すること。

二 放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによつて、放送による表現の自由を確保すること。

三 放送に携わる者の職責を明らかにすることによつて、放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること。(放送番組編集の自由)

第三条 放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。(国内放送等の放送番組の編集等)

第四条 放送事業者は、国内放送及び内外放送(以下「国内放送等」という。)の放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。

一 公安及び善良な風俗を害しないこと。

二 政治的に公平であること。

三 報道は事実をまげないですること。

四 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。

2 (略)

礒崎総理補佐官ご説明結果

日時 平成27年2月17日(火) 15:55~16:00

場所 官邸(礒崎総理補佐官室)

先方 礒崎総理補佐官(○)、山口補佐官付

当方 安藤情報流通行政局長(×)、長塩放送政策課長、西がた(記)

・先日の高市大臣へのご説明(2/13)の結果について安藤局長からご説明。

・主なやりとり以下のとおり。(関係資料は別添のとおり)

×)今回の整理ペーパーに基づき、これまでの経緯を含め高市大臣にご説明した。大臣から

は、「総務大臣は(答弁の)準備をしておきます」という点と、「補佐官が総理にご説明した際の総理の発言等についてはよく教えてください」という2点について伝えて欲しいとのご指示があった。総理へのご説明の結果等についてはお取り計らいをいただきたい。

×)この他、高市大臣からは、(一つの番組の)「極端な事例」に関する答弁部分について、感想的に「(答弁として)苦しいのではないか」というコメントがあった。大臣の真意は不知だが、事務方として忖度すれば、まさに補佐官が企図されているところと思うが、大臣も現実の放送をいろいろとご覧になられている中、放送事業者に対して「効き過ぎる可能性」をお考えになられたのかとも受け止めたところ。

○)(今回の整理は)そりゃ効くだろう。そういう意味ではやはり、質問者のほうから「こういう場合はどうだ?」という形で質問する必要があるだろう。高市大臣へのご対応に感謝。今後の手続については総理に相談したい。もちろん、実際の質疑の際は事前によく摺り合わせて慎重にやりたい。突然通告するようなことはしない。そこは信頼してほしい。

×)あと、これは総務省の事務方の話であるが、今後の国会審議との関係では、NHK籾井会長の発言問題(戦後70周年に関する件)があり、予算委員会での攻撃材料、そして年度末にご審議いただくNHK予算についても野党が攻撃材料に挙げているとも聞く。本日の自民党の総務会でNHK予算をお認めいただいたが、その際も何人かの議員から苦言があった。今回の政治的公平の件と籾井会長の発言がどう関係するか事務方としても読み切れない部分があるが、先程の「効き過ぎ」との関係で、後に業界が過剰反応し、相乗的に混乱すると、予算委員会やNHK予算審議等の国会運営に支障を来しかねない面もあり、そういった事態は避ける必要があるのではないかと思っているところ。

○)籾井会長の発言は何が問題になっているのか?総務部会で聞いていたが経緯がよく分からなかった(←安藤局長から経緯等ご説明。)。慣れてきたと思っていたが・・・。政治的公平のほうは、前から言っているとおり、個別特定の番組を挙げつらうつもりはなく、上品にやろうと思っている。本件と籾井会長の発言は関連しないと思うが、総務省の心配は理解。その場合、4月以後に本件を質す場はあるのか?

×)何らかの案件で予算委員会の集中審議はセットされるのではないかと思案するところ。

○)4月以降の話も含め、タイミングも総理と相談する。いずれにしても慎重にやらなきゃいけないことは十分承知。高市大臣へのご対応あらためて感謝。

(以上)

【配布先】桜井総審、福岡官房長、今林括審、局長、審議官、総務課長、地上放送課長 ← 放送政策課

放送法における政治的公平に係る解釈について(案)

1 現行の政府解釈

放送法における政治的公平性については、昭和 39 年 4 月 28 日の参議院逓信委員会における郵政省電波監理局長答弁以来、次のような解釈を採っている。

○ 放送法第4条第1項第2号の規定により、放送事業者は、その番組の編集に当たり、「政治的に公平であること」が求められている。

○ ここでいう「政治的に公平であること」とは、政治的な問題を取り扱う放送番組の編集に当たっては、「不偏不党の立場から特定の政治的見解に偏ることなく、放送番組全体としてのバランスのとれたものであること」である。

○ その判断に当たっては、一つの番組ではなく、放送事業者の番組全体を見て判断することとなる。

2 問題点

これまでの政府解釈には次のような問題点があり、放送の政治的公平を判断する上で、具体的な基準となり得なかった嫌いがある。

① これまで、「一つの番組ではなく、放送事業者の番組全体を見て判断する」との答弁に終始し、どのような番組編集にすれば放送事業者の番組全体を見て「政治的に公平である」と判断されるのか、具体的な基準を示してこなかった。

② 同様に、「政治的に公平である」ことの説明責任の所在についても、明確に示してこなかった。

③ 放送事業者の番組全体を見なくても、一つの番組だけを見たときに、どのように考えても「政治的に公平であること」に反する極端な場合が実際にあり得るが、このことについて政府の考え方を示してこなかった。

3 解釈について補充的説明

今後は、国会質疑等の場で、次の内容に沿って、従来の政府解釈について、補充的説明を行うものとする。

① 例えば、ある時間帯で総理の記者会見のみを放送したとしても、後のニュースの時間に野党党首のそれに対する意見を取り上げている場合のように、国論を二分するような政治的課題について、ある番組で一方の政治的見解のみを取り上げて放送した場合であっても、他の番組で他の政治的見解を取り上げて放送しているような場合は、放送事業者の番組全体として政治的公平を確保しているものと認められる。

② 政治的公平の観点から番組編集の考え方について社会的に問われた場合には、放送事業者において、当該事業者の番組全体として政治的公平を確保していることについて、国民に対して説明する必要がある。

③ 一つの番組のみでも、次のような極端な場合においては、一般論として「政治的に公平であること」を確保しているとは認められない。

・選挙期間中又はそれに近接する期間において、殊更に特定の候補者や候補予定者のみを相当の時間にわたり取り上げる特別番組を放送した場合のように、選挙の公平性に明らかに支障を及ぼすと認められる場合

・国論を二分するような政治的課題について、放送事業者が、一方の政治的見解を取り上げず、殊更に、他の政治的見解のみを取り上げて、それを支持する内容を相当の時間にわたり繰り返す番組を放送した場合のように、当該放送事業者の番組編集が不偏不党の立場から明らかに逸脱していると認められる場合

山田総理秘書官レク結果 <未定稿>

日時 平成27年2月18日(水)16:00~17:00

場所 官邸

先方 山田総理秘書官(○)

当方 安藤局長(×)、長塩課長、西がた(記)

(冒頭、本日の民主党の部門会議や籾井会長の発言の経緯等ご説明。その後礒崎補佐官からの照会の経緯等安藤局長からご説明。山田秘書官の主なご発言等以下のとおり。)

○)今回の整理は法制局に相談しているのか?今まで「番組全体で」としてきたものに「個別の番組」の(政治的公平の)整理を行うのであれば、放送法の根幹に関わる話ではないか。本来であれば審議会等をきちんと回した上で行うか、そうでなければ(放送)法改正となる話ではないのか。

×)法制局には当たっていない。礒崎補佐官も現行の「番組全体で」とする解釈を変更するものではなく、あくまで「補充的な説明」と位置づけ。国会で上手に質問されてしまったから答弁せざるをえない形を取ることとしている。

○)礒崎補佐官は官邸内で影響力はない(長谷川補佐官は影響力あるとの言)。総務省としてここまで丁寧にお付き合いする必要があるのか疑問(山田秘書官としては総務省から礒崎補佐官を止めて欲しかった?)。今回の話は変なヤクザに絡まれたって話ではないか。

○)礒崎補佐官からすれば、前回衆院選の時の萩生田(議員名の要請)文書と同じ考えで、

よかれと思って安保法制の議論をする前に民放にジャブを入れる趣旨なんだろうが、(山田秘書官からすれば)視野の狭い話。党がやっているうちはいいだろうし、それなりの効果もあったのだろうが、政府がこんなことしてどうするつもりなのか。礒崎補佐官はそれを狙っているんだろうが、どこのメディアも萎縮するだろう。言論弾圧ではないか。

○)政府として国会でこういう議論をすること自体が問題。新聞・民放、野党に格好の攻撃材料。自分(山田秘書官)の担当(メディア担当)の立場でいえば、総理はよくテレビに取り上げてもらっており、せっかく上手くいっているものを民主党が岡田代表の出演時間が足りない等と言い出したら困る。民主党だけでなく、どこのメディアも(政治的公平が確保されているか検証する意味で)総理が出演している時間を計り出すのではないか。

○)だいたい問題になるのは「サンデーモーニング」「ニュース23」「報道ステーション」だろうが、国民だってそこまで馬鹿ではない。今回の件は民放を攻める形になっているが、結果的に官邸に「ブーメラン」として返ってくる話であり、官邸にとってマイナスな話。

○)礒崎補佐官から総理アポの依頼は来ている。来週のどこかで時間を取ろうと思っていたが、このような話であれば、総理室からすれば、何でこんな話をこの時期に入れるのか?

ということにもなりかねない。(総務省も)本気でこの案件を総理に入れるつもりなのか。

総務省も恥をかくことになるのではないか。

○)ひとまず「来週のどこかで総理の時間を取る」件は引き延ばすが、礒崎補佐官が別の(秘書官の)ルートでアポ入れをしてくるかもしれない。本件を総理案件から落とすよう

総務省から礒崎補佐官にアプローチすべきではないか?(注:山田秘書官は、総理レクに

は総務省同席せず、あくまでも礒崎補佐官の整理として総理に上げることについては理解

されていないようす。) (以上)

放送法における政治的公平に係る解釈について(案)

1 現行の政府解釈

放送法における政治的公平性については、昭和 39 年 4 月 28 日の参議院逓信委員会における郵政省電波監理局長答弁以来、次のような解釈を採っている。

○ 放送法第4条第1項第2号の規定により、放送事業者は、その番組の編集に当たり、「政治的に公平であること」が求められている。

○ ここでいう「政治的に公平であること」とは、政治的な問題を取り扱う放送番組の編集に当たっては、「不偏不党の立場から特定の政治的見解に偏ることなく、放送番組全体としてのバランスのとれたものであること」である。

○ その判断に当たっては、一つの番組ではなく、放送事業者の番組全体を見て判断することとなる。

2 問題点

これまでの政府解釈には次のような問題点があり、放送の政治的公平を判断する上で、具体的な基準となり得なかった嫌いがある。

① これまで、「一つの番組ではなく、放送事業者の番組全体を見て判断する」との答弁に終始し、どのような番組編集にすれば放送

事業者の番組全体を見て「政治的に公平である」と判断されるのか、具体的な基準を示してこなかった。

② 同様に、「政治的に公平である」ことの説明責任の所在についても、明確に示してこなかった。

③ 放送事業者の番組全体を見なくても、一つの番組だけを見たときに、どのように考えても「政治的に公平であること」に反する極端な場合が実際にあり得るが、このことについて政府の考え方を示してこなかった。

3 解釈について補充的説明

今後は、国会質疑等の場で、次の内容に沿って、従来の政府解釈について、補充的説明を行うものとする。

① 例えば、ある時間帯で総理の記者会見のみを放送したとしても、後のニュースの時間に野党党首のそれに対する意見を取り上げている場合のように、国論を二分するような政治的課題について、ある番組で一方の政治的見解のみを取り上げて放送した場合で

あっても、他の番組で他の政治的見解を取り上げて放送しているような場合は、放送事業者の番組全体として政治的公平を確保しているものと認められる。

② 政治的公平の観点から番組編集の考え方について社会的に問われた場合には、放送事業者において、当該事業者の番組全体として政治的公平を確保していることについて、国民に対して説明する必要がある。

③ 一つの番組のみでも、次のような極端な場合においては、一般論として「政治的に公平であること」を確保しているとは認められない。

・選挙期間中又はそれに近接する期間において、殊更に特定の候補者や候補予定者のみを相当の時間にわたり取り上げる特別番組を放送した場合のように、選挙の公平性に明らかに支障を及ぼすと認められる場合

・国論を二分するような政治的課題について、放送事業者が、一方の政治的見解を取り上げず、殊更に、他の政治的見解のみを取り上げて、それを支持する内容を相当の時間にわたり繰り返す番組を放送した場合のように、当該放送事業者の番組編集が不偏不党の立場から明らかに逸脱していると認められる場合

【参考】

○ なお、放送法は、第1条の目的で規定するとおり、放送事業者による自律の保障を基本としているところ。

○ これを受けて、第3条で放送番組編集の自由を保障した上で、第4条で放送番組の編集に当たり、放送事業者が遵守すべき事項として規定されている「政治的に公平であること」などの放送番組編集準則等についても、放送事業者の自主・自律的な取組により担保されるべきものというのが放送法の基本的枠組み。

○ こうした中、放送事業者による自律的取組としてBPOが設立されている。「政治的公平」の観点からのBPOへの申立てについては以下のとおり。

・ BPO放送倫理検証委員会に対しては、視聴者誰でも「視聴者意見」を提出することができる。

(電話、FAX、郵送、インターネット等で受付け。様式等の定めはない。)

・ 視聴者意見等を基に事務局が事前調査を行い、委員会として審議又は審理すべき事案かどうかを議論。

審議又は審理すべきと判断された事案に対して、「審議入り」・「審理入り」を決定。

・ 委員会の担当委員らが、関係者へのヒアリング等の調査を行う。

・ 調査を基に、放送倫理違反や虚偽・捏造の有無を判断し、「意見」・「勧告」・「見解」を放送局に通知するとともに、記者会見を行い、結果を広く公表。

政治的公平について

○ 放送法第4条第1項第2号の規定により、放送事業者は、その番組の編集にあたり、「政治的に公平であること」が求められている。

○ ここでいう「政治的に公平であること」とは、政治的な問題を取り扱う放送番組の編集に当たっては、

「不偏不党の立場から特定の政治的見解に偏ることなく、放送番組全体としてバランスのとれたものであること」である。

○ その判断にあたっては、一つの番組ではなく、放送事業者の番組全体を見て判断することとなる。

放送法における「政治的公平」について

【参考条文)】 放送法(昭和25年法律第132号) 抜粋

(目的)

第一条 この法律は、次に掲げる原則に従つて、放送を公共の福祉に適合するように規律し、その健全な発達を図ることを目的とする。

一 放送が国民に最大限に普及されて、その効用をもたらすことを保障すること。

二 放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによつて、放送による表現の自由を確保すること。

三 放送に携わる者の職責を明らかにすることによつて、放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること(放送番組編集の自由)

第三条 放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。(国内放送等の放送番組の編集等)

第四条 放送事業者は、国内放送及び内外放送(以下「国内放送等」という。)の放送番組の編集に当たつては、

次の各号の定めるところによらなければならない。

一 公安及び善良な風俗を害しないこと。

二 政治的に公平であること。

三 報道は事実をまげないですること。

四 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。

2 (略)

参考資料

政治的公平性等に関する

これまでの国会答弁について

1

目 次

①参議院逓信委員会(昭和39年4月28日)

 宮川電波監理局長答弁…………………………………2

②衆議院総務委員会(平成16年6月3日)

 麻生総務大臣答弁………………………………………9

③参議院総務委員会(平成19年12月20日)

 増田総務大臣答弁他…………………………………10

2

①昭和39年 4月28日 参議院逓信委員会

 宮川電波監理局長

※公労協のストライキの2日前にTBSでプロ野球中継を中断して午後8時から8時15分まで池田総理の談話が放送されたことを契機とする質疑

○横川正市君(社会党) 局長に、非常に抽象的な聞き方でありますけれども、いろいろめんどうくさい、しかも、基本的な制約規定がありまして、それに民主主義のたてまえ等が加わったために、電波法とか放送法とか、それに付随する諸規定というのは、いわば非常に常識的な言語が羅列されてきめられているわけですが、その反面、非常に重要な問題が含められているというふうに私どもは考えております。

 そこで、この条文上の問題からいうと、放送法の四十四条の各項にわたっての解釈をどういうふうに解釈をされているのか。これが立法された当時の速記録でも読むと明確になるんでありますが、それが手元にありませんので、法律に従って業務をとられております局長からお聞きをいたしたいと思いますが、第一は、第二号の「政治的に公平であること。」ということは、これは一体どういう内容なのか。それから第二は、「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」とあるけれども、これは一体どういう内容なのか。これは主観的なものではなしに、立法の精神からひとつ御説明をいただきたいと思います。

○政府委員(宮川岸雄君 郵政省電波監理局長) ただいまの御質問の御趣旨は、この四十四条第三項のことだと思うのでございまするが、「政治的に公平であること。」及び「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から」云々ということの御質問だと思いますが、前段にございます「協会は、国内放送の放送番組の編集に当っては、左の各号の定めるところによらなければならない。」と、こういうふうになっておりまして、前段後段、全部含めましての考え方でなければならないかと思います。したがいまして、御質問の御趣旨と若干あるいは取り違っているかもしれませんけれども、この書いてございます三項の全体の問題につきましては、電波監理の事務当局といたしましては、協会が放送を行なう場合におきましての放送番組の編集でございますので、ある期間全体を貫く放送番組の編集の考え方のあらわれ、そういうようなものの中におきまして、それが政治的に非常に片寄った意見が常に一方的に相当長期間にわたって出る、あるいは意見の対立している問題について、片方からだけの角度からその論点を常に取り上げて、片方だけの意見を常に言っているというようなことが出てきた場合におきまして、この第三項というものの法律に違反することになってくる、こういうような考え方をとっているのでございます。

○横川正市君(社会党) 放送局の開設の根本的基準というのが放送法の前段にきめられているわけですが、それの三条の四号には、それぞれ分けられて、「公安及び善良な風俗を害しないこと。」、第二に、「政治的に公平であること。」、第三に、「報道は、事実をま

げないですること。」、第四は、「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」、特別な事業計画によるものを除き、放送全体が調和がとれていること。こういうふうに、放送局の開設の根本的基準というものがきめられているわけです。それを当然生かして、放送法が四十四条三項にうたわれているものは、私は、いま言われたように、非常に何といいますか、精神として言いあらわす点では、もう少し的確なことばが使われていいものなのではないか。もちろん、運用とか、あるいは監督とかいうようなものになりますと、他の憲法というような基本法に抵触いたしますから、これは非常にあいまいになるわけですけれども、そうでない、こういう放送局の開設の根本的基準というようなものについては、もっと監理局が的確な、しかも明快な一つの考え方というものを持っているのが妥当なんじゃないかというように私は思うのですけれども、その点どうですか、もう一回お答えいただきたいと思います。

○政府委員(宮川岸雄君 郵政省電波監理局長) 公安及び善良な風俗を害しないとか、政治的に公平である、こういうような、あるいは、意見が対立している云々というようなことにつきましての、個々の番組に対する判断というものは非常にむずかしい問題でございまして、人によっては、この程度が公平であるが、人によっては、多少これは公平を欠いているというような判断が、人によって相当違うものであろうかと考えるわけでございます。したがいまして、先ほどの御説明をもう少しふえんさしていただくならば、ある一つの番組が、極端な場合を除きまして、これが直ちに公安及び善良な風俗を害する、あるいは、これが政治的に不公平なんである、こういうことを判断する――一つの事例につき

ましてこれを判断するということは、相当慎重にやらなければもちろんいけませんし、また、慎重にやりましても、一つのものにつきまして、客観的に正しいという結論を与えることはなかなかむずかしい問題であろうと思うのであります。そういうようなことからと、もう一つ、番組の内容についてのいろいろな自由ということを別に考えなければならない問題がございます。また、個々の番組につきまして、一々これを判断をして、常にテレビ番組あるいは放送番組の内容を監視して見ていくということが伴わなければ、実際的にはこういうことはできないわけであります。そういうようなことから、やはりこの法律の具体的な取り上げ方というのは、先ほど私お答えいたしましたような線において考えていかねばならない、こんなふうに考えております。

○横川正市君(社会党) 非常に抽象的なあれですから、的確に答弁を求めることはむずかしいならば、これは逆に、たとえば民放あたりには、民放連テレビ放送基準というようなものがつくられておりますが、これは、民放のテレビ放送基準というものは、四十四条三項あるいは五十一条に該当する項目として自主的な規制をするとか、放送法の精神を生かして自主規制を行なうとか、こういう意味で私は、この基準というものはつくられていると思うのです。そういう自主規制ということは、逆に言いますと、これは放送法という立法精神、いわゆる目的、それが当然判断をされて正当に評価をされた上でなければつくられるものではないと私は思う。そういう考え方に立つと、そうすると、逆から聞きます

けれども、政治的に公平でないというものは、一体、どういうのをお考えになっていますか。それともう一つは、四の「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにする」ということは、一体、どういう具体的な問題を考えておいでですか。ただ立法されたときにこういう、こういう、こういうことがあると、しかし、それを表現するのはこのことばだというふうに、短く集約されたものだと私ども思うのですが、監理局としては、その点どういうふうにお考えですか。

○政府委員(宮川岸雄君 郵政省電波監理局長) 先ほども申し上げましたように、ある一時点、ある一つだけの番組につきまして直ちに判断するということではなく、連続して一つの意見だけを取り上げて、それを聞いている者として、それがそういう意見しかないというふうな感じを与えるように、繰り返しそういうことが行なわれる、こういうようなことがあった場合におきましては、これは確かにまあ、できるだけ多くの角度から論点を明らかにしたということに沿っていない、こういう事例になるかと思うのでございます。政治的に公平であるないという問題につきましても、やはり同じようなことが申されるのではなかろうかと思います。

○横川正市君(社会党) 何というか、しっかりとしたものは、局長は出さないほうが、これが妥当な法文解釈だとお考えになっているのですか。この文章は明確なんですよ。「政治的に公平であること。」とあるのだけれども、それじゃ、政治的に公平でないというのは、一体どういうことなのか。これを的確に、たとえばこういう事例です、こういう事例ですというやつをお聞きしているわけですよ。そうでなしに、あなたのいま答えているのは、どうも、たとえば聴視率一〇〇のうちの六〇%が、あそこの局が政治的に偏向だということが何回か重ならないと、行なった行為というものが政治的偏向にならない、こういう答弁に聞こえるわけですが、私は、そうじゃなくて、一つの放送が放送されたときに、その放送は、たとえば、聞いていた者が主観で判断をして、あれは政治的偏向だと、こういうふうに指摘をされても、それはやはり政治的偏向の問題というのはあり得ると思うのです。多数が政治的偏向だと言われなくてもですね。そういうふうに、あれは政治的な

偏向だ、あるいは公平を欠いておる、こういうふうに思われる者があるから、公平を欠いてはならぬと、こういった条文がつくられているわけです。だから、運用するあなたのほうでは、政治的にそれじゃ公平でないということは、どういうことと、どういうことだとお考えになっておられますかと、こう私は聞いておるわけです。

○政府委員(宮川岸雄君 郵政省電波監理局長) ある政治的な政党なら政党の主張というものが、ある時間放送された。そのときに放送局のほうとして、きょうはこの時間にこういう方のこういう意見を発表してもらいますと、こういうことによってそのある一つの政治的な見解がそこで述べられる。それだけでは、政治的に公平を欠いたとは言えないと思います。その次の段階におきましては、きょうはほかのB政党のこういう意見を放送番組にのせますと、こういうようなことで、やはりそれが両政党の意見が国民に見るチャンスがあると、まあこういうことであろうと思います。

 それからまた、もちろん、一つ一つの内容につきまして、Aの政党の意見はこうである、Bの政党の意見はこうであるというような形の解説が行なわれるような場合、これはもちろん、当然に政治的に公平であると、こういう考え方に立ってよろしいかと思っております。

○横川正市君(社会党) 具体的な問題でなしに、抽象論をやっておっても問題ですから、具体的問題に入りたいと思いますが、四月の十五日という日は、一般世論の中に中心的な問題として出ておったのは、これは二日の後に迫った四・一七の公労協のストライキ、あるいはこれと関連する民間の労働組合のストライキ紛争の未解決の中から出てきたそういう結果が目前に迫っている時期でありますから、私は、問題は、その当時非常にこれは政治的であり社会的な問題として第一にクローズアップをされておった問題だと、こう判断をいたしております。ですから、四月の十五日という日は、いわゆる周囲の情勢から判断をいたしますと、公労協の紛争を解決する二日前ということで、きわめて中心的な問題を持っておった日だと、こういうふうに私どもは判断をするわけですが、そういうときに池田総理大臣が、これはTBSですか、東京放送のテレビを通じて国民に訴えるという放送を行なっておるわけです。この放送が行なわれた時間は、八時からのプロ野球のすでにプレーがかかって試合が開始をされている時間に、約十五分間これを中断をして放送をされているわけです。こういう放送の取り扱い――まあ時期の判断、それから、その放送された内容、これについて私はまず第一に、放送法四十四条の三項に掲げる一と二の各号から考えてみて、遺憾な放送ではなかったかというふうに思うわけでありまして、そういう放送が行なわれたということに対して、実は私は、放送法のたてまえからお聞きをしているわけなんです。その放送の内容は、きわめて一方的な、まあ時期の判断からすれば、ストを前にした、きわめて緊迫した情勢であり、しかも、それは労使間の問題であり、すでに社会問題として相当世上いろいろ論議をされている問題ですから、そういう点からいえば、四の問題に該当するのではないか、取り扱い方としては、きわめて配慮に欠けた取り扱い方ではないかと、かように考えるわけでありますけれども、まあ事実問題から考えて、宮川局長としては、当時をどういうふうにお考えになりますか。事実問題が出たわけですから、ひとつ的確にお答えいただきたい。

○政府委員(宮川岸雄君 郵政省電波監理局長) 御指摘のように、東京放送におきまして、十五日の晩の八時から八時十五分までの間におきまして池田首相の談話が放送されたことは、そのとおりでございます。で、この池田首相の談話というものが、今回のストライキ、労使間の問題の使用者側の代表という形でお話しになったということになりますと、これは間間が出てまいるかと思うのでございますけれども、この場合に私たちは、これは一国の総理としてのお考えを述べられたものと、こういうふうに考えているのでございます。なお、先ほども申しましたように、この八時から八時十五分までというものをとりますならば、確かに、池田首相が談話を発表されたわけでございますけれども、この談話は

幾つも繰り返されたとかいうようなことではございませんで、TBSといたしましては、あるいは太田総評議長であるとか、成田書記長、そういうような方の御意見等も電波にのせる等の配慮をいたしておりますので、この一事をもちまして、四十四条の第三項の四号に直ちに該当するというようには考えないのでございます。

○横川正市君(社会党) いわば歴史的、経過的、時間的に判断をしているのは、これはいわば幾らか社会的にいえば、ある意味では上といえば語弊があるかしりませんが、非常に上層の方だろうと思う。そうではなしに、八時から八時十五分というふうに限られた時間に、池田総理の独演的な放送で行なわれたということは、実にこれは、前者がどういう発言をした、あるいは、そのあとに後者がどういう発言をしたという、そういう相互的なことでなしに、一般的に与える影響というものは、これは私は波の持っている性格だと思うのですよ。その波の持っている性格があるから、もちろん、これは事前に検閲をするとかなんとかいうことは非常に問題だけれども、それを行なえないかわりに、私は、電波の業者のいわゆる基準というものがきめられているんだと、こう判断しているわけです。だから、きめられたそのもの自体は、非常に何かあいまいだけれども、その持っている文化的な水準といいますか、あるいは社会的な重要さといいますか、道徳的にいえば非常に高い水準というようなものがこの中に入っているんだと思うのです。そうでなければ、自主規制なんというものはできませんからね。そこで、私は、効果の面からいえば、前の日にだれかが話をした、二、三日たってだれかが話をした、だから、まん中に責任ある者が何を言っても、これはいいんだというような解釈には、実は立たないのです。いわゆる自主規制というのは、波を出すときにその波にのるものがいいか悪いか、これをよく判断をして、そして、みずからの判断でその悪い点は直していくというところに、実は自主規制があるのであって、それが行なわれていないのを私は、いかにもあたりまえのごとくに理由をつけるということは、ちょっとうなずけないわけなんですがね。これは監理局としては、

いま出る波についていわゆる自主的に規制をしなさいと言っている立場からすれば、いま瞬間に出ている波に対して、これはどんなに悪くても、前にいいことをしていればそれはいいということになりますか。それから、あとからまた別な放送があって、それが帳消しになるようなことをいえば、その瞬間に放送された波がいいということになりますか。そういうことには私はならぬと思うのですがね、どうでしょう。

○政府委員(宮川岸雄君 郵政省電波監理局長) 御指摘のように、その場その場におきましての放送の中におきましても、反対する意見というものを常に取り入れるというような形をとっていくということはやはり望ましいことではあろうかと思いまするけれども、常にそういう形がとり得ない場合もあろうかと思うのでございます。また、この場合におきましては、先ほど申しましたように、首相として、一国の総理としてのお考え方を国民に述べられている、こういうことでございまして、これは必ずしも事務当局の答えるべきことではないかもしれませんけれども、この法律に書いてございます「意見が対立している問題」云々ということよりも、もっと次元の高いことであろうかというふうに解釈しても

よかろうかと思っております。

②平成16年 6月 3日 衆議院総務委員会

 麻生総務大臣

※山形テレビが自民党山形県連の広報番組を85分間流したことを契機とする質疑

○武正委員 個別具体的にこの自民党山形県連が広報番組を八十五分間流したこと、山形テレビの行為、これが放送法に抵触するおそれあり、こういったことで私どもは問題視しているんですが、この個別具体的な自民党山形県連の広報番組を放送したことについて、これについては大臣としてどのようにお考えになられますか。

○麻生国務大臣 これは三条の二の第一項第二号の政治的に公平であることということで、基本的には、不偏不党の立場から、政治的に考えても偏ることなく、放送番組全体としてのバランスがとれたものであるようにしておかないかぬということだと思っておりますので、政治的に公平であるとの判断は、一つの番組ではなくて、その当該放送事業者の番組全体を見て判断をする必要があるというぐあいに考えております。したがいまして、これを踏まえまして、総務省としては山形テレビから事実関係というものを、山形テレビとしての考え方を伺っている最中でありますので、現段階でどうかと言われれば、総務省としてまだ最終判断をするには至っていないということだと存じます。

③平成19年12月20日 参議院総務委員会

 増田総務大臣 ほか

※年金問題について野党の国会議員しか出ていない民放のお昼の番組を契機とする質疑

○礒崎陽輔君 放送法の方に入りますが、私は、役人のときに有事法制の担当というのをやっておりまして、国民保護法の中に放送局を指定公共機関にするかどうかという問題で、一年間掛けてNHKの皆さんや民放の皆さんと議論をしたことがあります。そのときに私も申し上げたのは、言論の自由というのはとにかく日の憲法の認める価値の中で最も大事なものでありまして、それを貫くためには報道の自由も私も最大限尊重しなきゃならぬ、そしてそのためには報道機関の自由、自律というものも確保しなきゃならぬと、こういう話を私もいたしました。 ただ、その中で、報道の自由と報道の機関の自由、いずれも大

事でありますけど、ただそれはイコールではないだろうという話も私はさしていただいたわけであります。まあ難しいことを言うても、日本には法律があります。きちんとやっぱり法律を守っていただかなければならないと考えておるわけであります。放送法第三条の二には、放送番組の編集についての原則が掲げられております。まず、「公安及び善良な風俗を害しないこと。」、「政治的に公平であること。」、「報道は事実をまげないでするこ

と。」、「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」、これをきちんと守っていただかなければならないと考えておるわけであります。私は、NHKの放送は基本的には立派な放送であると思いますし、こういう公平性の原則、相当程度守られておると考えております。本来は民放と少し議論をしたいんでありますけど、そういうわけにもいきませんので、今日はNHKに放送事業者の代表としてお伺いするわけですので、そういう趣旨で御答弁をいただければ有り難いと思います。

 まず、今申し上げました放送法第三条の二第一項第二号は「政治的に公平であること。」という政治的な公平性の原則が定めらておるわけでありますが、この原則の意味はどういうことであるのでしょうか。これはちょっと総務省とNHKと両方からお伺いしたいと思います。

○国務大臣(増田寛也君) お答え申し上げますが、ただいま御質問の「政治的に公平であること。」ということでありますが、これは、例えば政治的な問題を取り扱う放送番組ございます。こうした放送番組の編集に当たりましては、不偏不党の立場から、特定の政治的見解に偏ることなく放送番組全体としてのバランスの取れたものであることと、このように私ども解しております。こうした判断でございますが、これは、一つの番組ではなくて当該放送事業者の番組全体を見て判断することが必要かと、このように認識してございます。

○参考人(橋本元一君) お答え申し上げます。この放送法三条の二という中で規定しております「政治的に公平であること。」ということは、まず報道機関の基本中の基本の原

則だと考えております。当然ながら、不偏不党、このような考え方にのっとって、常に公共放送として、また報道機関として信頼される立場をいつも堅持しておくということが、これは我々の根幹になる考え方でありますし、常にこれに意識をしながら取材、制作に当たる必要があろうというふうに考えております。

○礒崎陽輔君 これは民放であった例なんですけど、年金問題についてお昼の番組であって、私も余りお昼の番組見ないんですが、チャンネルをぱっとひねった瞬間出てきたのが、野党の国会議が年金問題について御発言をしておるんです。それは悪いんじゃないですけれど、よく見たら野党の国会議員しか出ていないんですね。野党の国会議員、あの年金問題で有名な方ですけれど、それを受けてキャスターというのかどうか分かりませんけれど、いや先生おっしゃるとおりですねというような言い方を掛け合いのように二人でやっていると。どこかに与党の議員がいるかと思ったら、どこにもいないんですね。(発言する者あり)そうなんです。こういうことは、やはりさっき言いましたように、放送法第三

条の二の第二号とかあるいは第四号、「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」、これに対して私は問題であったんではないかと思うんですが、これについて総務省、どういう御見解をお持ちでしょうか。

○政府参考人(小笠原倫明君) 先ほど大臣からも答弁申し上げましたけれども、先生御指摘のいわゆる政治的公平性の確保あるいは多角的論点の確保といったことにつきましては、放送番組全体としてのバランスの取れたものでなければならないという意味と私ども解釈しております。 したがいまして、これらの規定に違反しているかどうかといった判断につきましては、個々の番組について判断されるものでなくて、当該放送事業者の放送番組全体を見て判断するものであると解しておるところでございます。例えば、当該放送局におきまして、議員がごらんになられた番組以外に年金問題について様々な角度から放送しているかどうかといったことを勘案する必要がございまして、その特定の個別の番組だけを対象に放送法に反しているかどうかについて判断するのは必ずしも適当ではないんではないかと考えている次第でございます。「政治的に公平であること」について

○ 一つの番組ではなく、放送事業者の番組全体として「政治的に公平であること」に沿っていると考えられる具体例

・国論を2分するような政治的問題について、ある番組では特定の政党の政治的見解のみを取り上げて放送した場合であっても、不偏不党の立場から、他の番組で、他党の政治的見解を取り上げて放送しているような場合

○ 一つの番組のみをもって、当該放送事業者の放送番組編集が「政治的公平」を欠き、放送法の放送番組準則に抵触することとなると考えられる例

・選挙期間中の投票日前日に、特定の政党への投票を促す番組を編集し、放送を行った場合

・国論を2分するような政治的問題について、ある番組の中で、特定の政党の政治的見解のみを取り上げて執拗に繰り返し放送し、当該放送局として他党の政治的見解について取材したり放送で取り上げる意思がない旨表明するなど、当該放送事業者の放送番組編集の考え方としてその特定の政党の政治的見解以外の政治的見解を放送する意思がないことが客観的に明らかな場合

○ 放送法(昭和二十五年五月二日法律第百三十二号)

(目的)

第一条 この法律は、次に掲げる原則に従つて、放送を公共の福祉に適合するように規律し、その健全な達を図ることを目的とする。

一 (略)

二 放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによつて、放送による表現の自由を確保すること。 (放送番組編集の自由)

第三条 放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。(国内放送等の放送番組の編集等)

第四条 放送事業者は、国内放送及び内外放送(以下「国内放送等」という。)の放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。

一 (略)

二 政治的に公平であること。

山田総理秘書官レク結果

日時 平成27年3月2日(月)14:00~14:40

場所 官邸

先方 山田総理秘書官(○)

当方 長塩放送政策課長(×)、西がた(記)

○)(「政治的公平に係る行政指導案件」の資料を見つつ、)政治的公平で行政指導したのは この2件なのか。

×)然り。

○)「椿発言」はどう整理されているのか。

×)本件は、テレビ朝日において外部有識者を交えて選挙期間中の放送番組の検証を実施。

検証の結果、当該期間の放送番組の政治的公平性が欠けていた事実は認められなかった。

他方、実際に「椿発言」のような事案が発生したことについては、同社の管理体制に問題

があったことから、行政指導を実施。

○)(BPOの指摘事例や海外の状況に関する資料を見つつ、事実関係について質問)

×)(適宜回答)

×)海外の状況については、例えば仏CSAの「出演時間の通知」がそうだが、いずれも 規制機関が独立行政機関だからこそ与えられる権限。総務省のような政府機関が同等の

権限を行使することは適しないとの議論があり、番組内容に対する監督が「組織論」に

飛び火することを懸念。

○)独立行政機関といえど、人事は国会同意になるだろう。NHKの経営委員会の委員も (同意人事という点で)同じで、「独立行政機関であれば政権与党の影響から独立」とはならないのではないか。

○)総務省の情報通信部門を独立行政機関とするかどうかの議論の現状如何。

×)民主党政権の頃は「日本版FCC」の議論があったが、現在省内において独立行政機関の設置に関する検討は行われていない。

○)(総理レクについては、)今週も入れるかどうか現時点では分からない。

○)本件についての高市大臣の意向如何。

×)礒崎補佐官には「答弁は準備する」と返答。大臣からは、総理レクの際の総理のご発言等についてよく教えてもらうよう指示を受けている。総理の意向を踏まえて答弁することになる。

○)了。「椿発言」の際の報道資料等を送ってください。

<以上>

山田秘書官対応について(案)

(礒崎補佐官関係)

○ 礒崎補佐官の総理レクのセッティングの件をはじめ、これまでのご対応に感謝。

○ 先日ご指摘いただいたとおり、現在のメディア環境が政権に好意的なものであることは事実。礒崎補佐官に対しては、(先日のご指摘も踏まえ、)官房長官をはじめとする官邸全体の取り運びについてご進言(ご相談)に上がったが、礒崎補佐官は「総理の指示があればやる、これは政治案件。役所は口を出すな。」とのお考え。

○ ついては、礒崎補佐官からの総理レクがセットされる場合には、

【事前にレクの内容を承知することとなった場合】

総理レクの前に、「本件はサンデーモーニングや報道ステーションといった政権に過度に批判的な番組に対する牽制にはなるが、官邸にとってはマイナスであり、やらないほうが良い」旨を総理にご進言いただく、

【上記の事前レクができない場合】

総理レクの現場でのご対応となるが、仮に総理から国会答弁を行うことで良いとの指示が出た際は、「現在のメディアとの距離感を踏まえれば、国会答弁を行うタイミングについては、慎重に進める必要があり、政権全体のメディア担当である官房長官とも十分なご相談が必要である」旨をご発言いただく、といった対応を、可能な範囲でお願いできないか。

総理レクの結果について

(放送番組の政治的公平について)

平成27年3月5日(木)夕刻

山田総理秘書官(○) → 電話 → 安藤局長

○ 総理へのご説明は本日16:05から実施。礒崎総理補佐官のほか、今井総理秘書官と自分(山田秘書官)が同席。

○ 今井秘書官と自分から、(礒崎補佐官の)説明のような整理をすると総理単独の報道が萎縮する、整理ペーパーに挙げられている極端な事例以外はなんでも良くなってしまう、

メディアとの関係で官邸にプラスになる話ではない、等と縷々発言した。

○ これらの発言にもかかわらず、総理は意外と前向きな反応。総理からは、

・ 政治的公平という観点からみて、現在の放送番組にはおかしいものもあり、こうした現状は正すべき、

・ (放送番組全体で見ることについて)「JAPANデビュー」は明らかにおかしい、どこでバランスを取っているのか、

・ FCC(米国)のように(政治的公平を)廃止した国はともかく、日本の放送法に

は「政治的公平」の規定があって、国民はこれが守られていると思っており、守られ

ていない現状はおかしい、等のご発言。

○ 礒崎補佐官から、サンデーモーニングはコメンテーター全員が同じことを述べている等、明らかにおかしいと発言。これに対し、総理から、

 ・ 「放送番組全体で見る」とするこれまでの解釈は了解(一応OKと)するが、

 ・ 極端な例をダメだと言うのは良いのではないか、

 ・ その意味で(補佐官の整理は)あくまで「極端な事例」であり、気を遣った表現に

なっているのでこれで良いのではないか、とのご発言。

○ また、総理から、①タイミングとして「今すぐ」やる必要はない、②国会答弁をする場は予算委員会ではなく総務委員会とし、総務大臣から答弁してもらえばいいのではないか、とご発言。

○ これに対し、自分(山田秘書官)から、一度整理をすれば個々の事例の「あてはめ」が始まり、官邸と報道機関の関係にも影響が及ぶ等の発言をしたものの、総理は、「有利不利ではない」、「全部が全部とは言わないが、正すべきは正す」とのスタンスであった。

○ レク終了後、今井秘書官にも相談したが、官邸にとって決して良い話ではなく、タイミングをみて官房長官にも(官邸から)話を入れる必要、との認識で一致。

【桜井総務審議官限り】

礒崎総理補佐官からの連絡

(総理レクの結果について)

日時 平成27年3月6日(金) 9:45~10:05

場所 官邸(礒崎総理補佐官室)

先方 礒崎総理補佐官(○)、山口補佐官付

当方 安藤情報流通行政局長(×)、長塩放送政策課長、西がた(記)

・昨日(3月5日)、放送番組の「政治的公平」について礒崎補佐官から総理にご説明。

・その結果についてお話を伺ったところ、概要以下のとおり。

○)昨日総理にご説明。今井・山田両総理秘書官が同席。自分(礒崎補佐官)から説明し、山田秘書官は抵抗していたが、今井秘書官はもっと過激なことも言っていた。結論として

は、国会でやることについては「良いのではないか」「ただし慎重にやってくれ」とのことであった。自分からは、「総務省とよく相談して進めたい」と申し上げた。

○)また、総理から、実際に答弁してもらう場は(予算委員会ではなく)「総務委員会で良い」という話もあった。時期はNHK予算の後で落ち着いてからが良いだろう。タイミングや誰に質問してもらうかについてはこちらでもう少し考えたい。また、実際の質問についてもこちらで質問立てしてみたい。その際はまた皆さん(当方)に相談する。高市大臣に対しては、こうした形で進めて行くことについてのご報告をお願いする。

○)ご説明の場で、今井秘書官から、整理ペーパーの中の「政治的見解」の意味について質問があり、自分からは、「(国論を二分する)政治的課題についての意見のこと」と回答。

○)従来の「放送番組全体で見る」という国会答弁の初出は昭和39年。あの頃の報道番組は意見なんて言わなかった。おかしくなったのは田英夫が出てきてから。みんなびっくりしたもんだ。今回の話は、特定の番組をあげつらうのではなく、ふんわりと上品にやると言っているのだから、その意味では山田秘書官は抵抗しすぎだったな。旧自治省が悪いのか旧郵政省が悪いのかは知らないが、総理もあまり総務省に好感触を持っているようではない。桜井総務審議官にも「無駄な抵抗はしないほうがいい」と伝えておこうと思う。

○)総理がいちばん問題意識を持っているのはNHKの「JAPANデビュー」だが、これはもう過去の話。今はサンデーモーニングには問題意識を持っている。(報道ステーションの)古館も気に入らないが、古館はゲストを呼ぶ。ゲストが弱くて負けるのはしょうがないが、この違いは大きい。サンデーモーニングは番組の路線と合わないゲストを呼ばない。あんなのが(番組として)成り立つのはおかしい。あとはNHKの5:30のラジオ(?)もテレビに出演できないようなゲストばかりで質が悪いが、今日のところはこれはいい。とにかくサンデーモーニング。番記者にもいろいろ言っているが、総務省もウォッチしておかなきゃだめだろう。

○)放送番組の政治的公平についての総務省のスタンスがこれまではよく分からなかった。

(米国のように)政治的公平の原則を外すというのは一つの考え方だが、現に法律に規定

がある以上は守らせないといけないし、(究極は)けしからん番組は取り締まるスタンスを示す必要があるだろう。そうしないと総務省が政治的に不信感を持たれることになる。

【桜井総務審議官限り】

○)今回の整理で総務省も少しは矢面に立たざるを得なくなるかもしれないが、政府が変な立場に立つことのないように注意して進めたい。総理からも「よく相談してやって下さい」とのことであり、NHK予算が終わってから、今回の整理を質問に落としてみてからまた皆さん(当方)と相談したい。

○)古館は番組には出演させる。総理が呼ばれれば総理はけんかするだろう。その意味でもサンデーモーニングは構造的におかしいのではないかということ。皆さんもこうした問題意識は頭に入れておいていただきたい。(笑いながら)あんまり無駄な抵抗はするなよ。 何回も来てもらってありがとう。

(以上)

放送法における政治的公平に係る解釈について(案)

1 現行の政府解釈

放送法における政治的公平性については、昭和 39 年 4 月 28 日の参議院逓信委員会における郵政省電波監理局長答弁以来、次のような解釈を採っている。

○ 放送法第4条第1項第2号の規定により、放送事業者は、その番組の編集に当たり、「政治的に公平であること」が求められている。

○ ここでいう「政治的に公平であること」とは、政治的な問題を取り扱う放送番組の編集に当たっては、「不偏不党の立場から特定の政治的見解に偏ることなく、放送番組全体としてのバランスのとれたものであること」である。

○ その判断に当たっては、一つの番組ではなく、放送事業者の番組全体を見て判断することとなる。

2 問題点

これまでの政府解釈には次のような問題点があり、放送の政治的公平を判断する上で、具体的な基準となり得なかった嫌いがある。

① これまで、「一つの番組ではなく、放送事業者の番組全体を見て判断する」との答弁に終始し、どのような番組編集にすれば放送事業者の番組全体を見て「政治的に公平である」と判断されるのか、具体的な基準を示してこなかった。

② 同様に、「政治的に公平である」ことの説明責任の所在についても、明確に示してこなかった。

③ 放送事業者の番組全体を見なくても、一つの番組だけを見たときに、どのように考えても「政治的に公平であること」に反する極端な場合が実際にあり得るが、このことについて政府の考え方を示してこなかった。

3 解釈について補充的説明

今後は、国会質疑等の場で、次の内容に沿って、従来の政府解釈について、補充的説明を行うものとする。

① 例えば、ある時間帯で総理の記者会見のみを放送したとしても、後のニュースの時間に野党党首のそれに対する意見を取り上げている場合のように、国論を二分するような政治的課題について、ある番組で一方の政治的見解のみを取り上げて放送した場合であっても、他の番組で他の政治的見解を取り上げて放送しているような場合は、放送事業者の番組全体として政治的公平を確保しているものと認められる。

② 政治的公平の観点から番組編集の考え方について社会的に問われた場合には、放送事業者において、当該事業者の番組全体として政治的公平を確保していることについて、国民に対して説明する必要がある。

③ 一つの番組のみでも、次のような極端な場合においては、一般論として「政治的に公平であること」を確保しているとは認められない。

・選挙期間中又はそれに近接する期間において、殊更に特定の候補者や候補予定者のみを相当の時間にわたり取り上げる特別番組を放送した場合のように、選挙の公平性に明らかに支障を及ぼすと認められる場合

・国論を二分するような政治的課題について、放送事業者が、一方の政治的見解を取り上げず、殊更に、他の政治的見解のみを取り上げて、それを支持する内容を相当の時間にわたり繰り返す番組を放送した場合のように、当該放送事業者の番組編集が不偏不党の立場から明らかに逸脱していると認められる場合

大臣レクの結果について安藤局長からのデブリ模様

(平成27年3月6日(金) 夕刻)

○ 整理ペーパーと「礒崎総理補佐官からの連絡」で大臣にご説明。最初大臣は本件についてあまり記憶がなかった様子で、第一声は「本当にやるの?」。

○ 大臣は、最近の自民党からの要請文書やNHK籾井会長の国会審議等を見ていて慎重になっているのかもしれない。整理ペーパーを見ているうちに内容を思い出してきたようで、以下のご発言。

・これから安保法制とかやるのに大丈夫か。

・民放と全面戦争になるのではないか。

・総理が「慎重に」と仰るときはやる気がない場合もある。(前回衆院選の)要請文書のように、背後で動いている人間がいるのだろう。

・一度総理に直接話をしたい。

 → 平川参事官に今井総理秘書官経由で総理とお話できる時間を確保するよう

その場で指示。(3/6/金~3/8/日の間)

○ 安藤局長から、総理に連絡する際は、

・今回の整理ペーパーの内容は「事務的にはギリギリの線のものであること」、

・礒崎補佐官に対し、一度「(高市大臣から)答弁は準備します」とお伝えしていること、

の2点に留意していただくようご発言。

○ 本件大臣レクの結果について桜井総務審議官にはご報告済。

 → 3/6/金夕刻、礒崎補佐官付(山口氏)に対し、安藤局長から大臣レクの結果をご報告する時間の確保・日程の調整をメールで依頼。

(以上)

礒崎総理補佐官からの連絡

(平成27年3月6日(金) 9:45)

・ 昨日(礒崎補佐官から)総理にご説明。

・ 国会でやることについて、「良いのではないか」「ただし慎重にやってくれ」とのことであった。

・ 自分(礒崎補佐官)からは、「総務省とよく相談して進めたい」と申し上げた。

・ また、総理から、実際に答弁してもらう場は(予算委員会ではなく)「総務委員会で良い」という話もあった。

・ 時期はNHK予算の後で落ち着いてからが良いだろう。

・ タイミングや誰に質問してもらうかについてはこちらでもう少し考えたい。また、実際の質問についてもこちらで質問立てしてみたい。その際はまた総務省に相談する。

・ 高市大臣に対しては、こうした形で進めて行くことについてご報告をお願いする。

放送法における政治的公平に係る解釈について(案)

1 現行の政府解釈

放送法における政治的公平性については、昭和 39 年 4 月 28 日の参議院逓信委員会における郵政省電波監理局長答弁以来、次のような解釈を採っている。

○ 放送法第4条第1項第2号の規定により、放送事業者は、その番組の編集に当たり、「政治的に公平であること」が求められている。

○ ここでいう「政治的に公平であること」とは、政治的な問題を取り扱う放送番組の編集に当たっては、「不偏不党の立場から特定の政治的見解に偏ることなく、放送番組全体としてのバランスのとれたものであること」である。

○ その判断に当たっては、一つの番組ではなく、放送事業者の番組全体を見て判断することとなる。

2 問題点

これまでの政府解釈には次のような問題点があり、放送の政治的公平を判断する上で、具体的な基準となり得なかった嫌いがある。

① これまで、「一つの番組ではなく、放送事業者の番組全体を見て判断する」との答弁に終始し、どのような番組編集にすれば放送事業者の番組全体を見て「政治的に公平である」と判断されるのか、具体的な基準を示してこなかった。

② 同様に、「政治的に公平である」ことの説明責任の所在についても、明確に示してこなかった。

③ 放送事業者の番組全体を見なくても、一つの番組だけを見たときに、どのように考えても「政治的に公平であること」に反する極端な場合が実際にあり得るが、このことについて政府の考え方を示してこなかった。

3 解釈について補充的説明

今後は、国会質疑等の場で、次の内容に沿って、従来の政府解釈について、補充的説明を行うものとする。

① 例えば、ある時間帯で総理の記者会見のみを放送したとしても、後のニュースの時間に野党党首のそれに対する意見を取り上げている場合のように、国論を二分するような政治的課題について、ある番組で一方の政治的見解のみを取り上げて放送した場合で

あっても、他の番組で他の政治的見解を取り上げて放送しているような場合は、放送事業者の番組全体として政治的公平を確保しているものと認められる。

② 政治的公平の観点から番組編集の考え方について社会的に問われた場合には、放送事業者において、当該事業者の番組全体として政治的公平を確保していることについて、国民に対して説明する必要がある。

③ 一つの番組のみでも、次のような極端な場合においては、一般論として「政治的に公平であること」を確保しているとは認められない。

・選挙期間中又はそれに近接する期間において、殊更に特定の候補者や候補予定者のみを相当の時間にわたり取り上げる特別番組を放送した場合のように、選挙の公平性に明らかに支障を及ぼすと認められる場合

・国論を二分するような政治的課題について、放送事業者が、一方の政治的見解を取り上げず、殊更に、他の政治的見解のみを取り上げて、それを支持する内容を相当の時間にわたり繰り返す番組を放送した場合のように、当該放送事業者の番組編集が不偏不党の立場から明らかに逸脱していると認められる場合

高市大臣と総理の電話会談の結果

(平成27年3月9日(月)夕刻)

○ 大臣室・平川参事官から安藤局長に対して以下の連絡。

・ 政治的公平に関する件で高市大臣から総理に電話(日時不明)。

・ 総理からは、「今までの放送法の解釈がおかしい」旨の発言。

実際に問題意識を持っている番組を複数例示?(サンデーモーニング他)

・ 国会答弁の時期については、総理から、「一連のものが終わってから」とのご発言があったとのこと。

(以上)

山田総理秘書官からの連絡

【政治的公平の件について】

(平成27年3月13日(金)17:45)

山田総理秘書官から、政治的公平に関する国会答弁の件について、安藤局長に電話連絡。

内容について局長からお話を伺ったもの。山田秘書官の発言の概要以下のとおり。

・ 政治的公平に関する国会答弁の件について、高市大臣から総理か今井秘書官かに

電話があったようだ。

・ 総理は「軽く総務委員会で答弁しておいた方が良いのではないか」という反応だったとのこと。

・ 本件については総理が前向きであり、今井秘書官の指示で、菅官房長官には本件について相談していない。

・ 本件についてはしばらく「静観」したい。

・ 礒崎総理補佐官の側で大きな動きがあれば教えて欲しい。

(以上)

礒崎総理補佐官室からの連絡

(政治的公平について)

平成27年3月24日(火)16:50

礒崎補佐官付・山口氏(○) → 放政課・にしがた(×)

○)礒崎補佐官から、政治的公平に関する国会での補充的説明について、「質問」が当方(山口氏)に送付されてきた。補佐官からは、総務省に送って答弁を用意してほしいとのこと。補佐官としては、先般の整理パーパーを基に、適宜総務省において必要な部分は補足等していただくイメージであった。

○)補佐官からは、NHK予算が終わった後のタイミングで、参・総務委員会の一般質疑で質問することを考えているようである。補佐官のほうで、本日お送りした問とは別に、質問者の「シナリオ」も作成中とのこと。

○)補佐官はNHK予算後の一般質疑と仰っていたが、具体的にはどのくらいになるのか?

×)NHK予算が年度内に成立すれば、その後の総務委員会は、通常であれば

※法→非※法の審議が行われることになるのではないか。法案質疑をやれば一般質疑も行われるので、その辺りのどこかのタイミングで、ということではないか。

○)NHK予算は年度内に成立できるのか?

×)なんとか年度内成立に向けて取り組んでいるところ。

○)補佐官も「こんどNHKの集中をやるらしいな」と仰っていたが、、、。

×)(直近の状況を適宜説明)

○)国会の状況については、また詳しいことを教えてほしい。

×)了。

(以上)

対総務大臣

問1 最近の放送番組を見て、大臣は、政治的公平性がきちんと守られていると考えるか。

問2 放送番組の政治的公平性について、総務省は、従来どういう基準で指導を行ってき

たのか。

問3 「放送事業者の番組全体を見て判断する」ということだが、具体的にどういうこと

か分かりにくい。例えばどういうことであれば、「放送事業者の番組全体を見て判断」して政治的公平性が保たれていることになるのか。

問4 ある番組について政治的公平性が指摘された場合において、「放送事業者の番組全体を見て判断する」としても、番組全体として政治的公平性を保っていることを放送事業

者がきちんと説明しなければ、この基準は全く意味がないと考えるが、どうか。

問5 一番組だけを見ても、極端な場合は、政治的公平性が守られていないという場合が

あるのではないか。例えば選挙直前などがそうであり、以前例があったが、特定の候補予定者のみを密着取材して選挙公示の直前に長時間特別番組で放送するようなことは、一番組だけでも、政治的公平性に反すると言えるのではないか。

問6 選挙以外でも、国論を二分するような政治的課題について、一方の政治的見解を採

り上げずに、他方の政治的見解のみを採り上げ、それを支持する内容を相当時間繰り返して放送するような場合は、やはり一番組であっても、政治的公平性反すると言えるのではないか。

【配布先】 桜井総審、福岡官房長、今林括審、局、審、総 ← 放送政策課

平成27年5月13日

情報

放送法の政治的公平に関する報道の状況について

1.経緯

 ・平成27年5月12日の参議院総務委員会において、(自)藤川委員から

 放送法第4条第1項第2号の政治的公平に関する質疑。

 (※質疑の「テープ起こし」を別添します。)

 ・本件に関し、現時点までの報道の状況等以下のとおり。

2.報道の状況

(1)新聞報道

 「切り抜き」記事を見る限り該当する報道は見受けられない。

(2)ネット記事等

 「政治的公平」等で検索する限り該当するものは見受けられない。

(3)その他

 礒崎総理補佐官が、同日の総務委員会での質疑を受け、twitter において以下のツイートを発信。

○ 放送法の政治的公平性について、今日の参議院総務委で、高市総務大臣は、従来の解釈の補充的説明としつつ、国論を二分するような課題に関し、一の番組でも、一方の主張を全く採り上げず、他方の主張のみを支持する内容を繰り返して放送した場合は、それに反する場合があると明確に答弁しました。

 【5月12日(火) 14時頃】

○ 従来はその放送事業者の番組を総合的に見て判断するとしていたのですが、極端な場合は一番組でも、政治的公平性に反する場合があるとしたのです。

 【5月12日(火) 17時頃】

(以上)

平成27年5月13日

政治的公平に関する礒崎総理補佐官のツイートについて

平成27年5月12日(参)総務委員会での(自)藤川委員の政治的公平に関する質疑について、twitter における礒崎総理補佐官(@isozaki_yousuke)のツイートは以下のとおり。

○ 放送法の政治的公平性について、今日の参議院総務委で、高市総務大臣は、従来の解釈の補充的説明としつつ、国論を二分するような課題に関し、一の番組でも、一方の主張を全く採り上げず、他方の主張のみを支持する内容を繰り返して放送した場合は、それに反する場合があると明確に答弁しました。

【5月12日(火) 14時頃】

○ 従来はその放送事業者の番組を総合的に見て判断するとしていたのですが、極端な場合は一番組でも、政治的公平性に反する場合があるとしたのです。

【5月12日(火) 17時頃】

 平成27年5月12日(火)

参議院総務委員会

藤川 政人 君(自民) 抜粋

○藤川委員

おはようございます。本日は放送法に定める放送の政治的公平性について議論させていただきたいと思います。放送法第4条第1項第2号は放送番組の編集について政治的に公平であることを求めるとともに、同項第4号において、意見が対立している問題についてはできるだけ多くの角度から論点を明らかにすること、すなわち政治的公平性、論点の多角性を求めております。放送法はこのように明確に放送の政治的公平性を求めておりますが、それにも関わらず最近の放送番組を見てみますと、とても政治的公平性が遵守されているとは言いがたいものがたくさん見受けられます。総務大臣は最近の放送をご覧になって、政治的公平性が遵守されているとお考えですか。御意見を伺いたいと思います。

○高市大臣

最近の放送を見てどう思うかということなんですけれども、今ですね割と忙しくしておりまして、放送番組をじっくりとたくさん見る機会には恵まれておりません。ただ、放送番組は放送事業者が自らの責任において編集するものでございまして、放送法は放送事業者による自主自律を基本とする枠組みになっておりますから、個別の放送番組の内容について、何か言えということでしたら、なかなかコメントしづろうございます。なお、個別の番組について何か社会的な問題が発生した場合には、まずは放送事業者が調査を行うなど私的な取り組みが行われることとなります。総務省としても放送事業者の取り組みの結果を踏まえて適切に対応することにしております。

○藤川委員

私は放送事業者による自主自律を基本とする枠組みは、もちろん極めて重要であると考えておりますが、その名のもとに放送法が求める政治的公平性が遵守されているとは思えない放送番組が見受けられるのも、見受けられる現状は問題が多いと考えております。国論を二分するような政治的課題について一方の意見のみを取り上げて放送しているような番組も散見されます。そこで政治的公平性について、総務省として従来どのような基準に沿って指導そして助言をされてきたのでしょうか。総務大臣に伺いたいと思います。

○高市大臣

放送法第4条第1項第2号の規定により放送事業者は放送番組の編集にあたり政治的に公平であることが求められております。ここでいう政治的に公平であることとはこれまでの国会答弁を通じて政治的な問題を取り扱う放送番組の編集にあたっては不偏不党の立場から特定の政治的見解に偏ることなく番組全体としてのバランスの取れたものであることと解釈をしてきたところであります。その適合性の判断にあたりましては、1つの番組ではなく放送事業者の番組全体を見て判断することとされてきたと聞いております。これまで放送事業者に対して、放送法第4条第1項第2号の政治的に公平であることに違反したとして行政指導が行われた事例はございません。

○藤川委員

そうですね、大臣が今おっしゃられた従来放送事業者の番組全体を見て判断するということが政治的公平性の判断基準になっているようです。私はこの1つの番組ではなく放送事業者の番組全体を見て判断するということが、放送法の求めている政治的公平性の意味を非常にわかりにくくしているのではないかなぁということも考える訳であります。平成26年5月13日の総務委員会におきましては、

※これは録音から起こしたものであり、正式なものではありません。

当時の新藤総務大臣は限られた放送時間等の制約の中で世の中の関心に応える番組を適切に編集していくためには、個々の番組で政治的公平性や論点の多角性を確保することが物理的に困難な場合もあることから、他の時間帯の番組と合わせた番組全体として政治的公平性や論点の多角性を判断する旨述べられているとともに、この原則のもとで個々の放送事業者の自主自律の判断に基づいて放送時間等の制約が特段ないケースにおいては個々の番組で政治的公平性や論点の多角性を確保しようと努めることは、これは放送法第4条第1項の規定の趣旨に沿うものと述べられておられます。そこで改めて総務大臣にお伺いしたいと思いますが、一体どのような状態であれば、放送事業者の番組全体を見て判断して政治的公平が保たれていることになるのか具体的に教えていただきたいと思います。

○高市大臣

率直に申し上げまして、藤川委員の問題意識、共有されている方も多いんじゃないかと思いますし、私自身の総務大臣の職に就きまして、非常にここのところの解釈というのも難しいものだなぁと感じております。例えばですね、国論を二分するような政治的課題について、ある時間帯で与党党首の記者会見のみを放送したとしても、あとのニュースの時間に野党党首のそれに対する意見を取り上げている場合のように、ある番組で一方の政治的見解のみを取り上げて放送した場合でも、他の番組で他の政治的見解を取り上げて放送しているような場合は、放送事業者の番組全体として政治的公平を確保しているものと認められるとされております。

○藤川委員

では、ある番組について政治的公平性の問題が指摘された場合において、どのように番組全体として政治的公平性や論点の多角性を確保したかについて、放送事業者は説明する責任はないのでしょうか。放送事業者の番組全体を見て判断することを基準にするとしても、ただこのことを言い放しでは放送事業者に言質を与えるだけでありまして、判断基準として全く役に立たないと考えます。過去に政治的公平性について問題が指摘された番組について、この番組だけでは不公平のように見えますが、他のこういう番組できちんと穴埋めをしており、これらと合わせた番組全体として政治的公平性の論点の多角性は確保されているとですと、具体的に説明された事例はあるのでしょうか。そのことを放送事業者がきちんと世の中に対して説明しなければ、この基準は全く意味がないと考えますが、総務大臣はどのようにお考えになりますか。

○高市大臣

放送法は放送事業者の自主自律を基本とする枠組みとなっており、放送番組はそのもとで、放送事業者が自らの責任において編集するものであります。政治的公平の観点から番組の編集の考え方について社会的に問われた場合には、放送事業者において政治的公平を確保しているということについて国民に対して説明をする必要があると考えております。

○藤川委員

そのことについては総務省としてもきとんと放送事業者を指導していただきたい、これは私からの本当に強いご要望とさせていただきます。それから最近の放送番組を見ておりますと、1番組だけであっても、やはり極端に政治的公平性が遵守されていないものがあると考えますがいかがでしょうか。放送時間等の制約がおよそそうした極端な場合でもその内容を正当化する理由にならないのではないでしょうか。かつて類似の例があったと思いますが、例えば選挙直前に特定の候補予定者のみを密着取材して選挙公示の直前に長時間特別番組で放送する場合があります。こうした場合は、たとえ1番組だけであっても政治的公平に反すると言えるのではないかと考えますが、総務大臣はどのようにお考えですか。

○高市大臣

放送法第4条第1項第2号の政治的に公平であることに関する政府のこれまでの解釈の補充的な説明として申し上げましたら、1つの番組のみでも選挙期間中またはそれに近接する期間において、殊更に特定の候補者や候補予定者のみを相当の時間に渡り取り上げる特別番組を放送した場合のように選挙の公平性に明らかに支障を及ぼすと認められる場合といった極端な場合におきましては一般論として、政治的に公平性であることを確保しているとは認められないと考えられます。

○藤川委員

そうですね。また、国論を二分するような政治的課題があるときにも政治的公平性は厳格に維持されなければならないと考えます。最近の放送の中には国論を二分するような政治的課題について、例えば一方の政治的見解をほとんど紹介しないで、他方の政治的見解のみを取り上げ、それを指示する内容を相当時間繰り返して放送しているようなものも見受けられます。このような放送番組はやはり1番組であったとしても政治的公平性に反するといえるのではないかと考えますが、総務大臣いかがですか。

○高市大臣

前問と同じように政府のこれまでの解釈の補充的な説明として申し上げますが、1つ番組のみでも国論を二分するような政治課題について、放送事業者が一方の政治的見解を取り上げず、殊更に他の政治的見解のみを取り上げて、それを指示する内容を相当な時間に渡り繰り返す番組を放送した場合のように当該放送事業者の番組編集が不偏不党の立場から明らかに逸脱していると認められる場合といった極端な場合においては、一般論として政治的に公平性であることを確保していることは認められないものと考えます。

○藤川委員

ありがとうございました。放送番組の政治的公平性については放送事業者の番組全体を見て判断するということが原則でありますが、やはり極端に政治的公平性を逸脱している場合には、1番組だけでも政治的公平に反するといえる場合があるというご答弁をいただいたものと考えます。その点についても放送事業者をじゅうぶんご指導いただきますようお願いを申し上げ、この質問を終えさせていただいたいと思います。それでは続いて、大変憂慮している問題ではありますが、まず4月末以降箱根山では…

(略)

(以上)

これが「総務省の内部文書」である。礒崎氏は2023年3月4日、「総務省と意見交換をしたのは事実」だとTwitterに投稿し、総務省側への働きかけを認めた。礒崎氏は「昭和39年の政府解釈では分かりにくいので、補充的説明をしてはどうかと意見しました」としている。一方、資料には当時総務相だった高市早苗・経済安保担当相の発言とされる内容が含まれていたが、高市氏は3月3日の国会審議で事実関係について問われたが、「全くの捏造(ねつぞう)文書だ」と断言した。現時点で、礒崎氏は資料の信憑性は否定していない。それどころか当時

「官房長官に役所から話すことは構わない。 しかし、俺の顔をつぶすようなことになれば、 ただじゃあ済まないぞ。 首が飛ぶぞ。 もうここにも来ることができないからな」

「たぶん誰かに言われて、 (そういったことを) 言いに来たのだろうから、 今日は怒らない」

「俺を信頼しろ。 役所のOBなんだし、 ちゃんとやってくれれば、 役所の悪いようにはしな い。 そちらも、 官邸の構造論を分かっておくように」などと発言をしている。

松本剛明総務相は3月7日の記者会見で、放送法の「政治的公平」の新解釈をめぐり官邸側と総務省側が交わしたやり取りをまとめた「総務省の内部文書」とされるものについて、行政文書だと認めた。

一方、共同通信によると松本氏は「一部は関係者の認識が異なる部分があるなど、正確性を確認できないものがある」と述べ、精査を続ける考えも示した。 松野博一官房長官も3月7日午前の記者会見で、文書について「総務省において、総務省の行政文書であると確認」と認めた上で、総務省が記載内容を「精査をおこなっていると承知している」と述べた。内部文書は長く,見づらく申し訳なく思ったが、公開されたお陰で全文載せられた。繰り返しになるが、政治家と官僚のやりとり、国会審議が映画の脚本のように寝られ,質問者はどの役者(国会議員)にするかなど,本当に面白いドラマである。

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