退職を機に、家の改築を思い立った。いくつかの業者を回り、大手リフオーム業者に決めた。細かい間取りなどはお母さんに頼み、業者の対応は私がやった。勤めているとき,増築をしたので、その経験から業者との交渉は支障なく進んだ。今回の違いは退職していて暇で、時間を気にしないで済んだことは本当に良かった。ただ改築前にもっと細かいところまで、勉強をしてからやれば、良かったとの反省はある。補助金も貰い損ねた。ただ今回の改築に悔いはない。改築は毎日私の目の前で行われ、疑問な所があればすぐ質問をして、業者は大変だったであろう。改築には色々な業者が関わり、まとめ役の建築士の仕事ぶりは面白かった。まず旧家の解体から始まり,別の業者が足場を組み,いよいよ改築が始まった。大工さんの仕事は面白く毎日何時間も、じっくりと見ていた。間もなく大工さんとは仲良くなって、良く話をした。大工さんは足場の業者はいい仕事だと言っていた。足場の板や棒など道具は何度も使われ、いい儲けになるようだ。壁、屋根、水回り、電気屋さんなど、時間を計ったように動き回っていた。大工さんには何度も注文を言った。ここに耐震用の板を入れてとか、鎹を打ってとか、釘をもっと打ってとか、私は満足しながら作業を見守った。作業を見ていて思ったのは,一人で作業するのは危険であると思った。私の家の改築では,私が常に業者を見守っていたので、一人作業の場面はなかった。屋根の細工をしていた板金屋さんが、屋根にいたとき突風がふき、板金が1枚舞い上がって危なかった。事故が起こったとき、それに対処する人が必要である。他の工事現場では一人作業のことも多いのであろうと思われる。危険である。
そして今回の改築で感じたのは、段取りの善し悪しである。トイレは狭い場所に、色々の分野の業者が入るが、作業は一人ですることになる。時間が重ならないように、段取りを組まないと、仕事にならない。トイレの前に業者が行列を作ったら、しゃれにならない。だから建築士の段取りは重要だ。私が見ていて、棚の位置が違うのではないかと思い、大工さん、内装屋さん、電気屋さんの作業をストップしてもらい、建築士に確認を取った。やはり違っていた。業者の皆さんには、作業のやり直しが二度,三度にならず感謝された。段取りは何事においても大事である。
今回の改築は何事も起こらず終了したが、色々な業者の方々から,それぞれの作業を本当によく教えて貰った。ただ仮設トイレを持ってきた業者には怒った。その業者はトイレを持ってきて、私に向かって「何でこんな不便な所でやるのだ」と怒鳴ったのである。少しおかしい人と思ったが、その時はその人を思うより、言葉に反応した。不便を承知で改築にかかったのだから、言われなき言い分である。思い出すだけで頭にくる。怒った私は仮設トイレを持ち帰らせた。悪いことをしたのは、大工さんなど他の業者の皆さんだった。トイレは我慢したのではないか。その業者以外は良い人達だった。その人達に、ついて回って、邪魔だっただろうと思う。内装で布地を張るのを手伝ったり、水回りの手伝いをしたりした。水回りの業者の説明の長いのには、閉口した。コンクリートを塗るのも手伝い、奥が深いと思った。業者の皆さんには感謝である。もう一度改築をしてみたい。